アウディ

ボルボとアウディ雪道最強はどっち?整備士が徹底比較

神崎悠真

神崎 悠真(1級自動車整備士)                       元大手メーカー勤務。現在は高級車を中心に扱う現役のメカニック兼、自動車検査員です。このブログでは、カタログのスペック表には載っていない**「故障リスク」や「本当の資産価値」**について、整備士の視点から忖度なしで解説します。                                  車選びで失敗したくない方は、ぜひ私の経歴をご覧ください。                                             資格一覧                                         自動車整備士一級、自動車検査員、中古自動車査定員、低圧電気取扱者、大型自動車第一種運転免許、中型自動車第一種運転免許、準中型自動車第一種運転免許、普通自動車第一種運転免許、牽引自動車第一種運転免許証、甲種危険物取扱者、ガス溶接技能講習修了証、全工協主催 基礎製図検定・機械製図検定、全工協主催 情報技術検定、フォークリフト運転技能講習修了証(最大荷重1t以上)、半自動溶接適格性証明書専門級、玉掛け技能講習修了証、床上操作式クレーン運転技能講習修了証(つり上荷重5t以上)、産業車両整備技能士特急、ジュニアマイスターゴールド認定

はじまして! このブログ「プレミアムカージャーナル」の運営責任者であり、現役の整備士を務めております、神崎悠真と申します。

冬のドライブは、白銀の世界を楽しめる反面、スリップやスタックといった不安も常につきまといますよね。特に輸入車を検討中のお客様から、「ボルボとアウディ、雪道性能は結局どっちが上なんですか?」というご相談を本当によく受けます。

カタログを見比べても、どちらも「4WD」や「AWD」と書いてあるだけで、具体的なメカニズムの違いまでは分かりにくいのが実情ではないでしょうか。実はこの2社、雪道に対するアプローチや設計思想が驚くほど異なっているのです。

ボルボとアウディの雪道に対する設計思想の違い:自然との調和対道を制圧する

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アウディが「道を制圧する」ような走りを目指すなら、ボルボは「自然と共存する」ような走りを目指していると言えるかもしれません。この違いを知らずに選んでしまうと、いざ雪山に行ったときに「思っていたのと違う」と後悔してしまうことさえあります。

そこで今回は、整備士としての経験とメカニズムの専門知識を基に、この2大ブランドの雪道走破性を徹底的に比較し、あなたに最適な一台を見つけるお手伝いをしようと思います。

この記事でわかること

  • クワトロとボルボAWDの決定的な違いが分かる
  • 自分の使い方に合った車種が明確になる
  • 雪国特有のトラブルやメンテナンス知識が身につく
  • 後悔しない車選びの基準が手に入る

ボルボとアウディの雪道性能を徹底比較

  • クワトロシステムとAWDの違い
  • 雪道で重要な最低地上高の比較
  • 滑る路面での制御と安全思想
  • V60とA4オールロードの評価
  • XC60とQ5の雪道走破性

クワトロシステムとAWDの違い

雪道性能の核心となるのが、四輪駆動システムの仕組みそのものです。アウディの代名詞である「Quattro(クワトロ)」と、ボルボが採用する「AWD」システムは、どちらも非常に優秀ですが、その性格はまるで水と油ほど違います。

整備士の視点から言わせていただくと、この「駆動システムの形式」こそが、雪道での運転感覚を決定づける最も重要な要素なのです。

アウディの機械式クワトロとボルボのBorgWarner製AWDシステムの構造比較図

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アウディ:機械式クワトロとウルトラテクノロジーの凄み

まずアウディですが、A4以上の縦置きエンジンモデルには、伝統的に「機械式センターデフ(トルセン等)」が採用されてきました。このシステムの最大の特徴は、電子制御の介入を待たずに物理的にトルク配分を行う点です。

通常時は「前40:後60」というリア寄りの配分になっており、アクセルを踏み込んだ瞬間に、路面を蹴り出すような力強いトラクションが発生します。電子制御特有の「滑ってから感知して繋がるまでのコンマ数秒のラグ」が物理的に存在しないため、ドライバーの感覚と車体の動きが完全にシンクロします。

さらに最新のモデル(A4 AllroadやQ5の一部)では、「Quattro Ultra(ウルトラ)テクノロジー」という新システムに移行しています。これは燃費向上のために、通常走行時は完全にプロペラシャフトを切り離してFF(前輪駆動)として走行するシステムです。

「えっ、それじゃあ滑った時に遅れるんじゃないの?」と心配される方もいるでしょう。しかし、アウディの凄いところは、多数のセンサーで路面状況やドライバーの操作を監視し、「滑る数ミリ秒前」に予測して四輪駆動に切り替える制御ロジックです。

外気温、ワイパーの作動状況、ハンドルの切れ角、アクセルの踏み込み速度などを総合的に判断しているため、人間が「あ、滑るかも」と感じるよりも早く、車はすでに4WDになっています。

ボルボ:BorgWarner製AWDの熟成された安定感

一方のボルボは、現行モデル(SPAプラットフォーム)のほぼ全てで、BorgWarner製(旧ハルデックス)の第5世代電子制御AWDシステムを採用しています。こちらは基本構造として、横置きエンジンのFF(前輪駆動)をベースとし、必要に応じて後輪へ動力を伝える「オンデマンド方式」です。

かつてのこの方式は「滑ってから繋がるまでのタイムラグ」が弱点と言われた時代もありましたが、現在は全く別物になっています。第5世代システムの特徴は、電動ポンプによって常に油圧系に予圧(プレロード)をかけている点です。

これにより、システムがスリップを検知した瞬間、あるいは発進のためにアクセルを踏んだ瞬間に、即座にクラッチを締結して後輪を駆動させることが可能になりました。アウディのような「後ろから押されるようなグイグイ感」は控えめですが、「気づかないうちに車が安定させてくれている」という黒子のような制御がボルボの持ち味です。

特にボルボの制御思想として「インスタントトラクション」という概念があり、停止状態からの発進時には、前輪が滑る前にあらかじめ後輪へトルクを配分するプログラムが組まれています。これにより、凍結した交差点での発進でも、空転を感じることなくスムーズに加速していくことができます。

ポイント

アウディ(Quattro)の特徴
機械式ならではの反応速度と、後輪駆動ベースのようなスポーティなハンドリングが魅力。雪道でも「運転している実感」や「操る楽しさ」を求めるドライバーに最適。

ボルボ(AWD)の特徴
予圧システムによるタイムラグのない安定志向の制御。FFベースならではの直進安定性と、ドライバーに不安を感じさせないスムーズな介入が特徴。

雪道で重要な最低地上高の比較

雪国での生活経験がある方なら深く頷いていただけると思いますが、整備士として声を大にして言いたい真実があります。それは、「極限状態の雪道において、最強のスペックは最低地上高である」ということです。

どんなに高性能な4WDシステムや最新のスタッドレスタイヤを履いていても、車体の底(フロア)が雪面に乗り上げてタイヤが浮いてしまう「亀の子状態」になってしまえば、物理的に前に進むことは不可能です。ここで、ボルボとアウディの設計思想の違いが数字として明確に現れます。

ボルボV60クロスカントリーとアウディA4オールロードクワトロの最低地上高比較

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Volvo V60 Cross Country:SUV顔負けの210mm

ボルボのV60 Cross Country(クロスカントリー)は、一見するとスタイリッシュなワゴン車に見えますが、その最低地上高は約210mmも確保されています。この「200mmオーバー」という数値は、実はとんでもないことです。

比較対象として挙げると、本格SUVとして名高いトヨタのRAV4やスバルのフォレスターと同等レベルの高さです。一般的な乗用車やワゴンが約140mm〜150mm程度ですから、それより60mm以上も高いことになります。

この余裕があれば、除雪車が通った後に道路脇に残された硬い雪の塊や、轍(わだち)が深く刻まれた道路の中央部分をまたぐ際も、下回りを擦る心配がほとんどありません。「行けるかな?」と躊躇するような深雪の駐車場でも、V60 CCなら涼しい顔で通過できるポテンシャルを持っています。

Audi A4 Allroad Quattro:オンロード重視の165mm

対するアウディのA4 Allroad Quattroですが、こちらの最低地上高は約165mm(日本仕様参考値)の設定となっています。ベースモデルのA4 Avantよりは数センチ高められており、オールロードらしいタフな外観をまとっていますが、V60 CCと比較すると45mm近く低いことになります。

「たかが4cm」と思うかもしれませんが、雪道における4cmは天国と地獄を分ける境界線です。165mmという高さは、都市部に降る雪や、きれいに圧雪されたスキー場へのアクセス路であれば全く問題ありません。

しかし、一晩でドカ雪が降った翌朝や、シャーベット状の雪が深く積もった路地裏などでは、フロントバンパーの下部や床下が雪に接触するリスクが高まります。アウディはあくまで「高速道路を快適に飛ばせるワゴン」という性格を色濃く残しており、悪路走破性よりも重心の低さによる走行安定性を優先した設計だと言えるでしょう。

車種 最低地上高 雪道での優位性
Volvo V60 CC 約210mm 深雪・悪路での走破性が圧倒的
Audi A4 Allroad 約165mm 高速安定性と乗降性のバランスが良い

注意

最低地上高の目安
一般的な除雪路では150mm程度あれば走れますが、豪雪地帯や深雪を走るなら200mm以上あると安心感が段違いです。特に底を擦ると、排気管やカバー類の破損にも繋がるため重要です。

滑る路面での制御と安全思想

ハードウェア(メカニズム)の違いだけでなく、ソフトウェア(制御)の味付けにも、両ブランドのお国柄がはっきりと出ています。ここには「安全」に対する哲学の違いが見て取れます。

ボルボの安全思想とアウディの制御思想の違い:鉄壁の守りと操る楽しさ

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ボルボ:「絶対に滑らせない」鉄壁の守り

ボルボの制御思想を一言で表すなら、「安全はすべてに優先する」です。雪道などの低ミュー路(滑りやすい路面)において、ボルボの電子制御システムは非常に介入が早く、かつ強力です。

カーブで車が少しでも外側に膨らもうとしたり、タイヤが空転する兆候を見せたりすると、即座にESC(横滑り防止装置)が作動します。エンジンの出力を絞り込み、個別のタイヤにブレーキをかけることで、強制的に車体の向きを安定方向へと修正します。

ドライバーが意図的にアクセルを踏んで車のお尻を滑らせようとしても、システムがそれを許しません。「ダメです、危ないです」と車に諭されているような感覚すら覚えます。この徹底した安定志向のおかげで、雪道運転に不慣れなドライバーや、パニックになりやすい状況下でも、何事もなく目的地に到着できる可能性が極めて高いのがボルボの特徴です。

これは、北欧で頻発するヘラジカとの衝突回避(ムーステスト)を想定した設計思想が根本にあるため、急ハンドル時の揺り戻し制御なども非常に優秀です。

アウディ:「制御下で遊ばせる」ドライバー尊重

逆にアウディは、「制御下でのダイナミクス」を許容する傾向があります。もちろん危険な領域に入ればESCが助けてくれますが、その介入の閾値(しきいち)がボルボよりも少し高く設定されているイメージです。

特にドライブセレクトで「ダイナミック」や「オフロード」モードを選択すると、ある程度のホイールスピンやスライド角を許容してくれます。これにより、熟練ドライバーであれば、アクセルコントロールで車の向きを変えたり、雪を掻き出しながら力強く進んだりといった操作が可能になります。

「車を操っている」という感覚が強く、雪道でもスポーティな走りを楽しみたい方にとっては、アウディの制御の方が自然で楽しいと感じるはずです。アウディはドライバーのスキルを信頼し、その操作に応える余地を残していると言えるでしょう。

メモ

制御フィールの違いまとめ
ボルボは「鉄壁のガード」で守られている安心感。アウディは「高性能な武器」を手にしているような全能感。どちらが好みかは、ドライバーの性格によります。

V60とA4オールロードの評価

ワゴン派の永遠のテーマとも言えるこの2台ですが、実際の使い勝手や雪道での居住性について、もう少し掘り下げてみましょう。

Volvo V60 Cross Country:最強の実用車

V60 Cross Countryの魅力は、そのパッケージングの優秀さにあります。ボルボのエステート(ワゴン)は伝統的に、デザインよりも積載性を重視した「スクエアな形状」を守り続けています。

リアゲートが地面に対して垂直に近い角度で立っているため、ラゲッジスペースの隅々まで荷物を積むことができます。これは、スキーブーツのような硬くて嵩張る荷物や、大型のクーラーボックス、あるいは愛犬のケージを積む際に非常に有利です。

また、サスペンションのセッティングも特筆すべき点です。V60 CCの足回りはストロークが長く取られており、圧雪路の凸凹や氷の段差を乗り越える際の衝撃を、驚くほどマイルドにいなしてくれます。同乗者が「雪道を走っていることに気づかない」ほど快適な、まさに「癒やし」の乗り味を提供してくれます。

ココがおすすめ

V60 Cross Country
最低地上高210mmの走破性と、角張った荷室の実用性は最強の「冬の道具」です。家族全員で快適に移動したいなら間違いなくこちら。

Audi A4 Allroad Quattro:高速ツアラーの真骨頂

一方、A4 Allroad Quattroの本領が発揮されるのは、スキー場までの道中にある高速道路です。ドイツのアウトバーンで鍛え上げられたシャシー性能は伊達ではありません。

横風が吹く冬の高速道路でも、路面に吸い付くような直進安定性を見せます。ステアリングの剛性感も高く、微修正舵が少なくて済むため、長距離を走ってもドライバーの疲労感が圧倒的に少ないのが特徴です。

サスペンションはボルボに比べると少し引き締まった印象で、路面の状況(凍結具合や雪の深さ)をドライバーの手のひらに正確に伝えてくれます。これを「乗り心地が硬い」と感じるか、「情報量が多くて安心」と感じるかが、評価の分かれ目になるでしょう。

XC60とQ5の雪道走破性

道での微低速性能比較:トルコンATとデュアルクラッチトランスミッション

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続いて、世界的に人気の高いミッドサイズSUV、ボルボXC60とアウディQ5の比較です。ボディサイズやエンジン性能は似ていますが、トランスミッション(変速機)の違いが、雪道での扱いやすさに大きく影響しています。

XC60:トルコンATによる極上のクリープ制御

XC60(B5 AWDなど)は、伝統的なトルクコンバーター式の8速オートマチックトランスミッションを採用しています。この「トルコン」の良いところは、流体(オイル)を使って動力を伝達するため、エンジンの回転を非常に滑らかにタイヤへ伝えられる点です。

特に雪道で重要になるのが、ブレーキを離しただけで車がゆっくり進む「クリープ現象」の強さと滑らかさです。XC60は、このクリープを利用して、タイヤを空転させずにじわりと発進したり、駐車場で数センチ単位の位置調整を行ったりするのが非常に得意です。

また、48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされており、エンジンの再始動やトルク補助がシームレスに行われるため、アクセル操作に対する挙動が唐突にならず、雪道での安心感に繋がっています。

Q5:DCTによるダイレクト感と微低速の癖

対するQ5は、「S tronic」と呼ばれる7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)を搭載しています。これは2つのクラッチを交互に繋ぎ変える仕組みで、マニュアル車のようなダイレクトな駆動力伝達と、電光石火の変速スピードが売りです。

雪道のワインディングロードなどを軽快に走る分には最高に気持ちが良いのですが、極低温時の始動直後や、渋滞でのノロノロ運転時には、構造上の弱点が顔を出すことがあります。クラッチを繋ぐ・切るという動作を機械が自動で行うため、ごく稀にですが、発進時に「ガツン」と唐突に繋がったり、逆に半クラッチの時間が長くて進まなかったりと、微細なギクシャク感を感じる場面があるのです。

もちろん最新モデルではかなり改善されていますが、繊細なアクセルワークが求められるツルツルのアイスバーンからの発進などでは、トルコンATのXC60の方が気を使わずに済むケースが多いと言えます。

チェックリスト

  • XC60:トルコンATならではのマイルドな発進特性。深雪からの脱出や繊細な操作が必要な場面でも、タイヤのグリップを感じ取りやすい。
  • Q5:DCTによるキビキビとした走り。ある程度速度が出ている時の爽快感は格別だが、極低速域では少し慣れが必要な場合も。

雪道でボルボかアウディか選ぶ基準

  • 冬季の燃費性能とヒートポンプ
  • 寒冷地での故障と凍結トラブル
  • ワイパーなど冬のメンテナンス
  • 中古価格とリセールバリュー
  • よくある質問
  • ボルボとアウディの雪道適性まとめ

冬季の燃費性能とヒートポンプ

近年増えているPHEV(プラグインハイブリッド)モデルを検討されている方にとって、冬場の「電費」と「暖房効率」は避けて通れない課題です。EV走行ができる距離は、気温が下がると劇的に短くなるからです。

ボルボ Rechargeの強み:ヒートポンプ

ボルボのPHEVモデル「Recharge」シリーズには、多くの仕様で「ヒートポンプシステム」が採用されています(※年式やグレードにより異なるため要確認)。ヒートポンプは、大気中の熱をかき集めて暖房に利用する技術で、従来の電気ヒーターに比べて非常に少ない電力で車内を暖めることができます。

これにより、氷点下の環境であっても、バッテリーの電力暖房に奪われるのを防ぎ、EVとして走行できる距離を確保しやすくなっています。朝の通勤や送迎など、エンジンをかけずに電気だけで静かに走りたいというニーズには、ボルボのシステムが非常にマッチします。

アウディの効率性:Quattro Ultraの恩恵

一方、ガソリン車(マイルドハイブリッド含む)同士の比較では、アウディに分があるケースが多いです。前述した「Quattro Ultra」システムが、高速巡航時などに後輪への駆動を物理的に遮断し、抵抗の少ないFF状態で走行することで燃費を稼ぐからです。

実際に長距離のスキー旅行などで燃費を計測すると、常時四輪を回している機械式クワトロやボルボのAWDに比べて、リッターあたり1〜2kmほど伸びることも珍しくありません。長距離移動のランニングコストを重視するなら、Quattro Ultra搭載のアウディは賢い選択です。

寒冷地での故障と凍結トラブル

「輸入車は寒さに弱い?」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、現代の車は基本的に丈夫です。しかし、特定のモデルや構造に由来する「持病」のようなトラブルは存在します。

寒冷地での弱点と強み:ボルボのドア凍結とアウディのバッテリートラブル

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ボルボ SPAプラットフォームの「ドアロック凍結」

これは中古車を購入する際に絶対に確認していただきたいポイントです。2018年から2020年頃に製造された、SPAプラットフォーム採用車(XC60, XC90, V60など)において、「極寒時にドアロックが凍結して作動しなくなる」という不具合が複数報告されています。

原因は、ドア内部のロックアクチュエーターやケーブルの防水性が不十分で、浸入した水分が氷点下で凍りつき、メカニズムを固着させてしまうためです。「ドアが開かない」ならまだしも、「ドアが閉まらない(半ドアのままロックできない)」という状態で立ち往生するケースもありました。

現在は対策品の部品が出ており、ディーラーでの修理が可能です。認定中古車などであれば対策済みの可能性が高いですが、個人売買や一般的な中古車店で買う場合は、整備記録簿を確認するか、販売店に対策済みかを問い合わせることを強く推奨します。

ココに注意

ボルボのドアロック凍結
氷点下5℃を下回るような地域の方は特に注意が必要です。もし未対策の車両を購入してしまった場合、冬が来る前に予防整備を行うのが無難です。

アウディのバッテリーとサッシュレスドア

アウディは高度な電子制御と煌びやかなライティング、そして大型のディスプレイを備えているため、電気の消費量が非常に多い車です。寒冷地ではバッテリーの性能が低下するため、少しバッテリーが弱っている状態で極寒の朝を迎えると、エンジンがかからないトラブルに見舞われやすい傾向があります。

また、A5スポーツバックやA7のような「サッシュレスドア(窓枠のないドア)」を採用しているモデルは要注意です。ドアを開ける瞬間に窓ガラスが数ミリ下がる機構になっているのですが、窓ガラスが凍結して張り付いていると、この動作ができずにドアが開かなくなります。Q5やA4 Allroadは窓枠あり(サッシュあり)なのでこの心配はありませんが、デザイン重視のクーペモデルを雪国で使う場合は、シリコンスプレーの塗布などの対策が欠かせません。

また、中古のアウディ車を検討されている方は、寒冷地トラブルだけでなく、経年劣化による故障リスクについても知っておく必要があります。アウディの中古車に見られる故障リスクや賢い選び方については、別の記事でも詳しく解説していますので、購入前にぜひチェックしてみてください。

ワイパーなど冬のメンテナンス

地味ですが、毎日の使い勝手に直結するのがワイパー周りの機能です。ここでボルボの「AquaBlade(アクアブレード)」というシステムを紹介させてください。これは個人的に、雪国最強の装備だと思っています。

通常の車はボンネット上のノズルからウォッシャー液を噴射しますが、アクアブレードはワイパーゴムそのものに無数の小さな穴が開いており、そこからウォッシャー液が出ます。ワイパーが動く方向の直前に液が出るため、拭き取る瞬間にしかガラスが濡れません。

これが何を意味するかというと、高速走行中や吹雪の中でも、ウォッシャー液が風で飛び散って視界を塞ぐ瞬間がゼロになるということです。さらに寒冷地仕様(またはオプション)では、ワイパーブレード自体が電熱線で発熱する機能も備わっています。これにより、走行中にワイパーゴムが凍って拭き取りが悪くなる現象を劇的に防いでくれます。

注意ポイント

ワイパーの立て方に注意
両車とも、デザインと空気抵抗低減のためにワイパーがボンネットの下に隠れています。洗車や駐車時にワイパーを立てる際は、必ずエンジン停止後にワイパーレバーを操作するなどの「サービスポジション」への切り替えが必要です。無理やり手で引き上げようとすると、ボンネットの塗装(エッジ部分)をガリッと削ってしまうので絶対にやめましょう。

中古価格とリセールバリュー

最後に、お財布事情に関する比較です。車を買うときは「手放すときの値段」も気になりますよね。

ボルボとアウディの維持費とリセールバリュー比較

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一般論として、日本市場におけるリセールバリュー(残価率)は、アウディの方がやや有利です。特に「Quattro」のエンブレムが付いたSUVモデル(Q5など)はブランド力が非常に強く、中古市場でも常に人気があります。3年〜5年で乗り換えるサイクルを想定しているなら、アウディの方が資産価値の目減りを抑えられる可能性が高いでしょう。

しかし、これは裏を返せば「中古で買うならボルボが圧倒的にお買い得」ということでもあります。新車時には高額だったV60 Cross CountryやXC60の上位グレードが、数年落ちの中古車になると、アウディよりも割安な価格設定で見つかることが多いのです。

ボルボは安全装備が標準でてんこ盛りなので、中古で買っても「あれが付いてない」と後悔することが少ないのもメリットです。長く乗り潰すつもりなら、初期投資を抑えられるボルボの中古車は、コストパフォーマンス最強の選択肢と言えるかもしれません。

よくある質問

Q:結局、雪道ではボルボとアウディどちらが性能が高いですか?

A:走る環境によります。深雪や除雪が不十分な地域では最低地上高が高いボルボ(特にV60 CC)が有利ですが、整備された高速道路や圧雪路での走行安定性・楽しさを求めるならアウディが適しています。

Q:両社の4WDシステムにはどのような違いがありますか?

A:アウディ(Quattro)は機械式主体で反応が速く、ドライバーが車を操る感覚を重視しています。対してボルボ(AWD)は電子制御で予圧をかけ、滑る前に介入して徹底的に挙動を安定させる安全志向の設計です。

Q:寒冷地特有の故障やトラブルにはどんなものがありますか?

A:ボルボは特定の年式で「ドアロックの凍結」が報告されています。アウディは電子機器が多いため「バッテリー上がり」や、窓枠のないモデルでの「ドア凍結」に注意が必要です。

Q:雪道での燃費性能はどちらが良いですか?

A:ガソリン車の場合、高速巡航時に後輪駆動を切り離せるアウディ(Quattro Ultra)が有利な傾向にあります。ただし、PHEVモデルではヒートポンプを採用するボルボの方が冬場の暖房効率が良い場合があります。

ボルボとアウディの雪道適性まとめ

ここまで、メカニズムからトラブル事例まで、様々な角度からボルボとアウディを比較してきました。最後に、それぞれの車が「具体的にどんな人に向いているのか」をまとめて結論とさせていただきます。

あなたに向いているのはどっち?ボルボとアウディの選び方チェックリスト

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Volvo (V60 CC / XC60) を選ぶべき人

ボルボは、雪道という過酷な環境を「いかに安全に、快適にやり過ごすか」という点において右に出るものがいません。特にV60 Cross Countryの地上高210mmは、除雪が行き届かない地域にお住まいの方にとって、何にも代えがたい安心材料となります。

ボルボがおすすめな人

  • 北海道、東北、北陸などの豪雪地帯に住んでいる
  • 運転に絶対的な自信があるわけではないので、車に守ってほしい
  • 早朝や深夜など、除雪前の道を走る機会がある
  • スペックよりも「癒やし」や「疲れないこと」を重視する

Audi (A4 Allroad / Q5) を選ぶべき人

アウディは、雪道であっても「走る歓び」を犠牲にしたくないドライバーのための車です。Quattroシステムがもたらすスタビリティと、ドライバーの意思に忠実なハンドリングは、雪道の運転を「作業」から「楽しみ」に変えてくれる力があります。

アウディがおすすめな人

  • 主な用途は、整備された高速道路を使ってのスキー場への往復
  • 雪道でもドライバーの技術でコントロールする余地が欲しい
  • 高速道路での直進安定性と、追い越し時のパワーを最重視する
  • 数年後のリセールバリューも計算に入れて賢く乗りたい

どちらも世界トップクラスの雪道性能を持っていることは間違いありません。物理的な走破性を取るならボルボ、動的な走行性能を取るならアウディ。あなたの住環境やカーライフに合わせて、後悔のない一台を選んでみてください。

冬のドライブが、不安なものではなく、美しい景色を楽しむ素晴らしい時間になることを願っています!

(出典:国土交通省『冬の道路情報』)

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神崎 悠真(1級自動車整備士)                       元大手メーカー勤務。現在は高級車を中心に扱う現役のメカニック兼、自動車検査員です。このブログでは、カタログのスペック表には載っていない**「故障リスク」や「本当の資産価値」**について、整備士の視点から忖度なしで解説します。                                  車選びで失敗したくない方は、ぜひ私の経歴をご覧ください。                                             資格一覧                                         自動車整備士一級、自動車検査員、中古自動車査定員、低圧電気取扱者、大型自動車第一種運転免許、中型自動車第一種運転免許、準中型自動車第一種運転免許、普通自動車第一種運転免許、牽引自動車第一種運転免許証、甲種危険物取扱者、ガス溶接技能講習修了証、全工協主催 基礎製図検定・機械製図検定、全工協主催 情報技術検定、フォークリフト運転技能講習修了証(最大荷重1t以上)、半自動溶接適格性証明書専門級、玉掛け技能講習修了証、床上操作式クレーン運転技能講習修了証(つり上荷重5t以上)、産業車両整備技能士特急、ジュニアマイスターゴールド認定

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