はじめまして! このブログ「プレミアムカージャーナル」の運営責任者であり、現役の整備士を務めております、神崎悠真と申します。
皆さんがふとメルセデス ベンツ ssk 本物という言葉を検索したとき、そこには様々なきっかけがあったことでしょう。アニメ作品で見たあの黄色い車のモデルが気になったり、あるいは街中で見かけたクラシックなスタイルのオープンカーが本物なのかレプリカなのか疑問に思ったりしたのかもしれません。
中古市場での値段はどれくらいなのか、本物とレプリカにはどのような違いや見分け方があるのか、知りたいことは山ほどありますよね。この車は単なる移動手段ではなく、歴史そのものと言える存在です。整備士としての視点も交えつつ、この伝説的な車の真実について、皆さんと一緒に深掘りしていければと思います。
記事のポイント
- 本物のSSKが持つ歴史的背景と驚愕の資産価値
- ルパン三世の愛車としての設定と現実のスペックの違い
- エクスキャリバーや光岡BUBUなど主要レプリカの特徴
- 実車を見分けるための決定的なポイントと市場動向
メルセデス・ベンツSSKの本物に関する歴史

プレミアムカージャーナル
- 数十億円規模で取引される値段
- 7.1Lの排気量を持つ怪物マシン
- 世界に数台の生産台数と希少性
- ラルフ・ローレンが所有する黒い怪鳥
- マフラー位置などの外観の見分け方
数十億円規模で取引される値段
まず、単刀直入にお話ししましょう。

プレミアムカージャーナル
もし今、奇跡的に「本物」のメルセデス・ベンツSSKがオークション市場に出てきたとしたら、その価格は私たちの想像を遥かに超えるものになります。整備士として多くの高級車を見てきましたが、SSKはもはや「車」というカテゴリーを超えた「動く美術品」です。
過去のデータを見ると、2004年のボナムス(Bonhams)オークションにおいて、1929年型のSSKが当時のレートで約740万ドル(約8億円以上)で落札されたという記録が残っています。しかし、これはあくまで20年以上前の話。近年のハイエンドなクラシックカー市場は、当時とは比較にならないほど高騰しています。
例えば、SSKの流れを汲む伝説のマシンである「300 SLR ウーレンハウト・クーペ」が、2022年に約180億円という天文学的な数字で落札されたことは記憶に新しいですよね。この「別格の価値」という点では、現代のハイパフォーマンスカーであるポルシェGT2とGT3の違いを比較するような次元とは全く異なり、もはや国宝級の扱いとなります。
現在の市場動向を現役整備士の感覚で予測するなら、もし完全に履歴が証明されたメルセデス・ベンツSSKの本物が競りに出れば、数十億円、コンディションによっては100億円を伺う可能性すら十分にあります。これは投資家にとっても、金やピカソの絵画と同じ「現物資産」として認識されているからに他なりません。
私たちが日常で触れる「中古車」という概念は、ここには存在しないのです。
7.1Lの排気量を持つ怪物マシン
SSKが生まれた1920年代後半、パワーの源は「排気量」そのものでした。この怪物に搭載されている「M06型」エンジンは、7.1リッター(7,069cc)という直列6気筒という、現代の感覚からは想像もつかない巨大な心臓部を持っています。

プレミアムカージャーナル
ボア100mm、ストローク150mmという極端なロングストローク設計は、低回転からアスファルトを抉るような強大なトルクを生み出すためのものです。
整備士として技術的に興味深いのは、そのスーパーチャージャー(過給機)の制御方法です。現代の過給システムのように自動で滑らかに効くのではなく、ドライバーがアクセルペダルを床まで踏み抜き、さらに最後の一押しをすることで物理的にクラッチを繋ぎ、強制的に空気を送り込むという非常にスパルタンな仕様です。
この過給が始まった瞬間の爆音は、ワーグナーの楽劇に例えられ、「ワルキューレの雄叫び」と呼ばれました。この凄まじいエンジンパワーを制御する難しさは、現代においてポルシェのカレラGTの運転が難しいと言われる理由とはまた違った、機械そのものと格闘するような物理的な重圧があります。
また、当時の最高速度が約190km/h以上に達していたという事実は、現代の高速道路を走るのと同等のスピードを、あの細いタイヤと板バネサスペンションで実現していたことを意味します。
まさに、当時の最先端技術の結晶であり、ポルシェ博士が「レースで勝てる市販車」を追求した結果生まれた怪物なのです。このエンジンの迫力こそが、本物だけが放つ圧倒的なオーラだと言えますね。
世界に数台の生産台数と希少性
「メルセデス ベンツ ssk 本物」と検索して、なかなか実車の確かな情報に辿り着けない最大の理由は、その極端なまでの希少性にあります。

プレミアムカージャーナル
公式な記録によれば、SSK(W06)の生産台数はわずか31台から38台程度とされています。これほど少ない生産数でありながら、その多くが当時の過酷なモータースポーツの世界で戦い、その命を散らしていきました。
整備士の立場から歴史を紐解くと、現存する「完全なオリジナル」は世界に4〜5台程度ではないかと言われています。戦火を逃れ、歴史の風雪に耐え抜いた個体がいかに貴重か、想像に難くありません。そのため、市場には「レプリカ」や「後世に製作された再構成車」が溢れており、本物を見分けることは至難の業です。
もし、偶然にもどこかのガレージでSSKを見かけたとしても、それはBMW 6シリーズがなぜ安いのかといった中古車市場の理屈で語れるものではありません。鑑定には、フレームの金属組成が1920年代当時のドイツの鋼材であるかを確認する「科学的調査」が必要になるほどです。
また、当時メルセデス自身が既存のモデル(モデルSなど)をSSK仕様にアップグレードしたというケースもあり、さらに「真正性」の定義を難しくしています。しかし、その曖昧ささえもがSSKの神秘性を高め、世界中のコレクターを虜にしている一つの要因なのかな、と私は思います。
ラルフ・ローレンが所有する黒い怪鳥
世界で最も有名なSSKの本物といえば、ファッションデザイナーのラルフ・ローレン氏が所有する、通称「カウント・トロッシ(Count Trossi)SSK」を置いて他にありません。

プレミアムカージャーナル
この個体は、車という存在が「芸術」に到達した最高傑作の一つです。漆黒のボディに包まれたその姿は、一度見たら忘れられないほどのインパクトがあります。
この車の特異な点は、その流麗な造形にあります。一般的なSSKは、泥除けがついただけの無骨なレーシングスタイルですが、トロッシSSKはイタリアのトロッシ伯爵が自らスケッチを描き、特別なボディ(コーチビルド)を架装したものです。水滴のような形状の「ティアドロップ・フェンダー」は、当時としては極めて前衛的な空力デザインでした。
この究極の個体は、世界最高峰のコンクール「ペブルビーチ」で優勝しており、その価値はもはやプライスレス。たとえ100億円を積まれても売らないという噂も、あながち誇張ではないでしょう。
これほどの個体になると、維持管理も専門のチームが行っており、私たちがベンツAクラスのボンネット開け方を調べるような日常的な整備とは別次元の世界です。歴史的建造物を維持するのと同等の情熱と資金が注がれているからこそ、今もなお「ブラックプリンス」としての輝きを失っていないのです。まさにSSKの歴史における、到達点と言えるでしょう。
マフラー位置などの外観の見分け方
さて、ここからは整備士らしい視点で、本物とレプリカを外観から見分けるポイントを詳しく解説します。一番の注目点は、ボンネットの横から突き出した「エキゾーストパイプ(排気管)」です。

プレミアムカージャーナル
【本物のSSKを見極める3つの鉄則】
- 右側3本出し: エンジン右側からのみ、太い蛇腹状のパイプが「3本」出ている。
- サスペンション: 現代的なアームではなく、無骨な「リーフスプリング(板バネ)」が見える。
- ホイール: 巨大なブレーキドラムを覆う、大径のワイヤースポークホイール。
多くのレプリカ(特にアメリカのエクスキャリバーなど)は、汎用的なV8エンジンを搭載しているため、排気管が左右から4本ずつ出ていたりします。また、日本でおなじみの光岡BUBUなどは、ベースがビートル(RR)のため、フロントのパイプは完全に「飾り」であり、どこにも繋がっていません。
足回りを覗いたときに、もし最新のポルシェのPDKの耐久性を議論するような精密なメカニズムが見えたら、それはレプリカの可能性が高いですね。本物は、もっと鉄道車両のような、鉄と銅の重厚な塊といった印象を受けます。
また、内装のメーター類の配置やステアリングの巨大さ、ペダルの並び(アクセルが中央にある場合もあります)も重要なチェックポイントです。本物に出会うことは稀ですが、これらの知識を持って観察すれば、その車両が「夢を追ったレプリカ」なのか「歴史を刻んだ本物」なのかを、静かに見極めることができるはずです。
メルセデス・ベンツSSKの本物やレプリカ
- ルパン三世の愛車に隠された設定
- アメ車のエクスキャリバーとの違い
- 光岡自動車의 BUBUクラシックSSK
- レプリカモデルの中古車市場動向
- よくある質問
- メルセデス・ベンツSSKの本物が持つ価値
ルパン三世の愛車に隠された設定
日本におけるSSKの認知度は、世界でもトップクラスでしょう。それはひとえにアニメ『ルパン三世』のおかげです。黄色いボディにスペアタイヤを背負ったあの姿は、多くの日本人の脳裏に焼き付いています。しかし、ルパンの乗っているSSKは、現実のスペックを遥かに超越した「スーパーカー」として描かれています。
最も有名な裏設定は、そのエンジン。なんとメルセデス純正ではなく、「フェラーリのV12エンジン」、あるいは水平対向12気筒エンジンに載せ替えられているというもの。最高出力は500馬力を超え、最高速度は300km/hに迫るという、もはや現代のハイパーカー並みの性能です。
もし現実にこんな車を作ろうとすれば、ポルシェ911 GT3が買えないと悩む以上の、技術的な「壁」にぶち当たることは間違いありません。細いフレームに巨大なV12を載せれば、パワーに負けて車体がねじ切れてしまうでしょうから。
しかし、こうした「嘘」や「ハッタリ」こそがルパン三世の魅力であり、SSKという車の神秘性をさらに深めてくれました。「ワルキューレの雄叫び」を響かせて崖を駆け上がるルパンのSSKは、実車が存在する台数以上に、私たちの心の中で本物以上の存在感を放ち続けているのです。
アメ車のエクスキャリバーとの違い
世界で最も成功したSSKのオマージュ車といえば、アメリカの「エクスキャリバー(Excalibur)」です。これは単なる偽物ではなく、1960年代に誕生した「ネオクラシック」という一つのジャンルを確立した立派な車です。一見するとSSKにそっくりですが、中身は全くの別物、いわば「SSKの皮を被ったアメ車」です。
整備士の視点で見ると、エクスキャリバーは非常に合理的な作りをしています。中身はシボレー・コルベットのV8エンジンやオートマチックトランスミッション、さらにはパワーステアリングやエアコンまで備えているモデルもあります。
本物のSSKのような気難しさはなく、BMW i8に乗ってる人の実態を語るのと同じように、「日常使いできるクラシック・スタイル」として非常に優秀な車です。
エクスキャリバーを見分けるコツは、左右に伸びた8本のエキゾーストパイプと、フロントの「剣」を模したエンブレム。本物のストイックなレーシングスピリットとは異なり、こちらはアメリカの豊かな時代が生んだ、最高に贅沢な「大人の遊び道具」なのです。日本でも時折中古市場に出回りますが、その堂々たるサイズ感は、駐車場事情などを考慮しても圧倒的な存在感があります。
光岡自動車のBUBUクラシックSSK
日本におけるレプリカ文化の象徴といえば、光岡自動車が1980年代後半に送り出した「BUBUクラシックSSK」です。この車は、ルパン三世を愛する多くのファンの夢を形にした、非常に日本的な一台と言えます。驚くべきはその構造で、なんと「ワーゲン・ビートル(タイプ1)」をベースに制作されています。
本物のSSKはフロントエンジンのFRですが、このBUBUはリアエンジンのRR。つまり、長いフロントボンネットを開けると、そこにあるのはエンジンではなく広大な「物入れ」です。整備士としても、この大胆なレイアウト変更には驚かされます。1.6Lの空冷エンジンを後ろに積み、独特のパタパタという排気音を響かせて走る姿は、本物とは違った愛嬌があります。
この「見た目と中身のギャップ」を楽しむ感覚は、現代においてプレリュードがポルシェのパクリかどうかを論じるような、デザインと機能の相関関係に対する日本独自の解釈と言えるかもしれません。
限定200台という生産数も手伝って、現在は中古市場で非常に高い人気を誇ります。ビートルベースゆえに、万が一の故障でも部品が手に入りやすく、維持費が抑えられるのも大きな魅力。もし貴方が「ルパンの気分を味わいたい」と思うなら、最も身近で現実的な「相棒」になってくれるはずです。
レプリカモデルの中古車市場動向
SSKの本物を手に入れるのは不可能に近いですが、レプリカであれば「所有する喜び」を味わうことができます。現在のレプリカ市場は、そのクオリティによって大きく3つの層に分かれています。

プレミアムカージャーナル
注目はアルゼンチンの「Pur Sang」社による再生産車です。彼らは本物のSSKを完全に分解して図面を引き、エンジンブロックの鋳造から自分たちで行っています。もはやレプリカという言葉で括るのが失礼なほどの工芸品で、本物を所有するオーナーが「代わりに普段乗りする車」として注文することもあるそうです。
このレベルになると、ポルシェGT3を買える人の年収を論じるような富裕層のガレージに収まっているのが現実です。自分の目的(走りを楽しみたいのか、スタイルを愛でたいのか)に合わせて、最適な一台を選ぶことが後悔しないコツですね。
よくある質問
Q:メルセデス・ベンツSSKの本物は現在いくらくらいしますか?
A:2004年に約8億円で落札された記録がありますが、近年のクラシックカー市場の高騰により、現在は数十億円からコンディションによっては100億円規模になると推測されます。
Q:本物のSSKとレプリカを簡単に見分ける方法はありますか?
A:最も明確な違いは排気管(マフラー)です。本物は右側のボンネットから太い蛇腹パイプが「3本」出ていますが、レプリカは左右出しや4本出し、あるいはダミーであることが多いです。
Q:ルパン三世のSSKと同じフェラーリエンジンの仕様は実在しますか?
A:いいえ、架空の設定です。作中の「フェラーリV12換装」設定は、実車の細長いフレームには物理的に搭載がほぼ不可能であり、実車は7.1Lの直列6気筒エンジンを搭載しています。
Q:SSKのレプリカモデルは中古でいくらで購入できますか?
A:モデルにより大きく異なります。光岡BUBUなどは150万〜400万円程度、米国製のエクスキャリバーは〜1,500万円、完全再現車のPur Sangは3,000万円以上が目安です。
メルセデス・ベンツSSKの本物が持つ価値
最後に、この記事のまとめとして「メルセデス ベンツ ssk 本物」が私たちに教えてくれる価値についてお話しします。

プレミアムカージャーナル
数十億円という値段を聞くと、どうしても投資対象としての側面ばかりが目についてしまいます。しかし、整備士としてこの車の歴史を見つめ直すと、そこには「人間の知性と情熱の限界」が刻まれていることに気づきます。
100年近く前に、これほど美しく、力強く、そして人々を魅了する機械が存在したこと自体が奇跡に近いのです。ポルシェ博士が追求した「究極の性能」と、トロッシ伯爵が求めた「究極の美」。その二つが奇跡的に融合したSSKは、後世の自動車開発に計り知れない影響を与えました。
現代においてメルセデス・ベンツの親会社がどこであろうとも、このSSKという「魂」がある限り、スリーポインテッド・スターの輝きが褪せることはありません。
本物を手に入れることは、多くの人にとって一生叶わぬ夢かもしれません。それでも、その歴史を学び、精巧なレプリカのエンジン音に耳を傾け、ルパン三世の活躍に目を輝かせる。そうした「憧れ」こそが、豊かなカーライフの源泉ではないでしょうか。SSKは、実車がどこにあるかということ以上に、私たち車好きの心の中で永遠に走り続ける、色褪せない「銀色の矢」なのです。
皆さんのカーライフが、こうした素晴らしい歴史への敬意と共に、より深いものになることを願っています。
ココに注意
※本記事に記載した価格相場や仕様は、歴史的資料および市場調査に基づく一般的な目安です。希少な車両ゆえ、個体差が非常に激しいため、実際の検討時には専門のクラシックカーディーラーや鑑定士へのご相談を強く推奨します。
メルセデス・ベンツの歴史(出典:メルセデス・ベンツ日本公式サイト)