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レクサス逆輸入とアルファードLM仕様の真相

神崎悠真

神崎 悠真(1級自動車整備士)                       元大手メーカー勤務。現在は高級車を中心に扱う現役のメカニック兼、自動車検査員です。このブログでは、カタログのスペック表には載っていない**「故障リスク」や「本当の資産価値」**について、整備士の視点から忖度なしで解説します。                                  車選びで失敗したくない方は、ぜひ私の経歴をご覧ください。                                             資格一覧                                         自動車整備士一級、自動車検査員、中古自動車査定員、低圧電気取扱者、大型自動車第一種運転免許、中型自動車第一種運転免許、準中型自動車第一種運転免許、普通自動車第一種運転免許、牽引自動車第一種運転免許証、甲種危険物取扱者、ガス溶接技能講習修了証、全工協主催 基礎製図検定・機械製図検定、全工協主催 情報技術検定、フォークリフト運転技能講習修了証(最大荷重1t以上)、半自動溶接適格性証明書専門級、玉掛け技能講習修了証、床上操作式クレーン運転技能講習修了証(つり上荷重5t以上)、産業車両整備技能士特急、ジュニアマイスターゴールド認定

はじめまして!このブログ「プレミアムカージャーナル」の運営責任者であり、現役の整備士を務めております、神崎悠真(かんざき ゆうま)と申します。

日本が生んだ至高のミニバン、トヨタ・アルファード。そのさらに上を行く「レクサスブランドのミニバン」としてアジア圏で絶大な支持を得ていたのがレクサスLMです。かつて、初代LMが日本で未発売だった頃、多くのオーナー様がレクサスの逆輸入やアルファードをベースにしたカスタムに夢を馳せていました。

現在、日本でも2代目が正規導入されましたが、「あえて初代のスタイルが好き」「今のアルファードをLM化したい」という熱い要望は今も絶えません。

しかし、整備士として現場で多くの方から相談を受ける中で感じるのは、憧れだけでレクサスの逆輸入に踏み切る危うさです。専門店選びの難しさはもちろん、左ハンドル車がもたらす日本国内での不便さ、そして何より「買ったはいいが、どこも直してくれない」というメンテナンス難民になるリスクが非常に高いんです。

特に長距離でも疲れないレクサスの快適性を期待して購入したのに、故障の不安で遠出できないなんて悲しいですよね。

そこで今回は、私が整備現場で見てきた実例や、業界の裏事情を交えながら、逆輸入のリアルからカスタムの費用対効果までを徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたが今抱いている疑問や不安がスッキリ解消され、後悔のない選択ができるようになるはずです。ぜひ、プロの視点でのアドバイスを参考にしてくださいね。

記事のポイント

  • 初代レクサスLMを並行輸入する際の具体的なコストとリスクがわかります
  • アルファードをLM仕様に改造する際の費用感と注意点が理解できます
  • 並行輸入車特有の車検・メンテナンスにおける「壁」が明確になります
  • 資産価値(リセール)を考えた賢い所有方法が判断できるようになります

レクサスの逆輸入やアルファードのLM仕様を徹底検証

レクサスLMの入手方法として並行輸入、カスタム、国内正規モデルの3つのルートを比較するスライド資料

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  • 初代レクサスLMを並行輸入する際の価格と注意点
  • 左ハンドル仕様의操作性や国内登録のハードル
  • 正規ディーラーでメンテナンスを拒絶されるリスク
  • アルファードの顔面移植カスタムにかかる費用相場
  • LM仕様への改造によるリセールバリューへの影響

初代レクサスLMを並行輸入する際の価格と注意点

2020年、中国やアジア市場でレクサス初のミニバンとして「LM350/LM300h」が発売された時、日本の車好きの間には衝撃が走りました。「なぜ日本で作っているのに、日本で売らないんだ!」という不満は、そのままレクサスの逆輸入という熱狂的なムーブメントに変わっていったんです。当時、この初代LMを日本へ持ち込むためには、想像を絶するコストと手間が必要でした。

2020年にアジア市場でデビューしたレクサス初のミニバンLMが日本のファンに与えた衝撃と憧れの背景

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不透明になりがちな輸入総額の正体

「車両価格が1,500万円なら、諸経費を入れても1,700万円くらいかな?」と考えるのは、並行輸入の世界では非常に危険です。海外の現地価格は、為替相場(当時は円安の進行もありました)に大きく左右されるだけでなく、現地の輸出業者の手数料や、日本への輸送費、そして日本到着後の「国内適合」にかかる費用が複雑に絡み合います。

特に、近年注目されているレクサス逆輸入SUVの真実と同様に、ミニバンであるLMもまた、日本国内の厳しい環境規制や安全基準をクリアしなければナンバーを付けることすらできません。

費用の種類 目安額(1ドル150円想定) 整備士からのワンポイントアドバイス
車両本体価格(現地) 約1,800万円 〜 2,500万円 オプションやグレードで大きく変動します。
海上輸送費・保険 約45万円 〜 70万円 塩害を防ぐコンテナ輸送が必須です。
ガス試験・騒音試験 約30万円 〜 60万円 1台ごとに試験場で測定する必要があります。
予備検査・国内改善工賃 約50万円 〜 100万円 ライトの光軸やサイドミラーの加工代です。

購入前に知っておくべき「個体差」のリスク

私が以前、逆輸入されたLMを点検した際に驚いたのは、仕向け地(輸出された国)によって防錆塗装やエアコンの仕様が全く異なる点です。高温多湿な東南アジア仕様はエアコンの効きが強烈な一方で、下回りの防錆が甘いことがあり、日本の冬道を走るとあっという間にサビが進行してしまうこともあります。

また、海外の中古市場から引っ張る場合、走行距離が巻き戻されているリスクもゼロではありません。信頼できる代行業者を見極める力、あるいは「多少のトラブルは笑って許せる」くらいの精神的・金銭的な余裕が求められるかなと思います。正確な情報は、必ず実績のある輸入代行専門店に確認するようにしてくださいね。

注意ポイント

並行輸入車はメーカーの正規ルートを通っていないため、日本の法律に基づいた「製造物責任法(PL法)」の恩恵を受けにくい側面があります。万が一、車両の欠陥によるトラブルが発生しても、日本のメーカーに責任を問うことは非常に難しいため、すべては自己責任という厳しい世界であることを覚悟しておきましょう。

左ハンドル仕様の操作性や国内登録のハードル

レクサスの逆輸入を具体的に検討し始めると、多くの個体が「左ハンドル(LHD)」であることに気づくはずです。中国や北米仕様などは左ハンドルが基本であり、日本で流通している初代LMも、右ハンドル仕様よりも左ハンドルの出物が多いのが現実です。しかし、日本の狭い道路で左ハンドルの巨大なミニバンを操るのは、想像以上にストレスが溜まるものです。

日本のインフラとの絶望的な相性

整備士としてお客様の左ハンドル車を試運転することがありますが、ミニバンのように視点が高い車でも、左側通行の日本では右折時の対向車確認が非常に困難です。対向車線に大きなトラックが停まっていようものなら、先が全く見えず、右折待ちで何分も足止めを食らうことも珍しくありません。

また、駐車場やドライブスルーの問題も深刻です。最近はスマート決済も増えましたが、古いビルの駐車場やコインパーキングでは、わざわざ車を降りて右側の精算機まで歩く必要があり、雨の日などは「なぜこの車を買ったんだ……」と後悔してしまう瞬間があるかも。こうした日常の使い勝手は、購入後の満足度に直結する部分ですね。

国内登録に向けた「改善作業」の工学的難しさ

海外仕様の車をそのまま日本の公道で走らせることはできません。日本の保安基準に適合させるための「改善作業」が必要になります。特に厄介なのがヘッドライトの光軸(配光特性)です。左ハンドル用は右側が遠くまで照らされる設定ですが、日本では逆。対向車を幻惑させないよう、左側を照らすように加工しなければなりませんが、最近のインテリジェントLEDヘッドライトはコンピューター制御されているため、物理的に光軸をいじるのが非常に難しく、場合によってはレンズを分解して内部を改造するような「大手術」が必要になります。こうした作業のクオリティが低いと、光軸が安定せず車検のたびに苦労することになります。

チェックリスト

(出典:国土交通省『自動車の並行輸入制度について』)

並行輸入車を国内でナンバー取得するための手続きや、安全基準への適合性については、こちらの公的な指針を事前に熟読しておくことをおすすめします。これを知らずに輸入してしまうと、登録すらできない「巨大な置物」を抱えることになりかねません。

サイドアンダーミラーとカメラの義務化

また、日本国内では左側(助手席側)の死角を確認するための鏡(いわゆるキノコミラー)や、カメラによる視界確保が義務付けられています。高級なLMに不格好なミラーを付けたくないという理由で小型カメラを設置するケースが多いですが、この配線作業を適当に行うと、後席の豪華なモニターにノイズが入ったり、最悪の場合は車両のコンピューター(CAN通信)に不具合を及ぼしたりすることもあります。改善作業は安さで選ばず、経験豊富なメカニックがいる工場に依頼するのが鉄則です。

正規ディーラーでメンテナンスを拒絶されるリスク

自動車の並行輸入における不透明なコストと、正規ディーラーが整備を断る理由(部品検索・診断機・リコール対応)の解説

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ここが、レクサスの逆輸入における最も切実で、最も多くのオーナーを悩ませる問題です。日本のレクサス店に行けば、最高のサービスと確実な整備が受けられる……そんな期待を抱いて逆輸入車を持ち込んでも、「申し訳ございませんが、当店ではお引き受けできません」と丁寧にお断りされるケースがほとんどなんです。これは、ディーラーが不親切だからではありません。

ディーラーが「直せない」3つの理由

整備士の立場から解説すると、正規ディーラーが並行輸入車の整備を断るのには、極めて論理的な理由が3つあります。

    1. 部品検索システム(EPC)の非互換性: 日本のディーラーで使われているシステムは、国内仕様車のVIN(車台番号)にしか対応していません。海外仕様の車台番号を打ち込んでも、どのネジやオイルフィルターが適合するのか、画面に表示されないんです。似たようなアルファードの部品を適当に注文して、万が一適合しなかった場合、ディーラーは責任を取ることができません。
    2. 故障診断機(GTS)の通信制限: 現代のレクサスは走るコンピューターです。不具合の原因を特定するには専用の診断機を接続しますが、仕向け地設定が異なる海外仕様車の場合、診断機が車両を拒絶し、エラーコードの読み取りすらできないことが多々あります。これでは、どこが故障しているのかプロでもお手上げ状態になります。
  1. リコール情報の遮断: 日本国内でのリコールは国土交通省を通じて発表されますが、海外仕様のリコール情報は、日本法人には降りてきません。安全に関わる重大な欠陥を見逃してしまうリスクを恐れ、入庫自体を断らざるを得ないのです。

メモ

かつて、トヨタ系の車は「どこでも直せる」と言われていましたが、電子制御が高度化した今のレクサスは別物です。特にハイブリッドシステムに不具合が出た場合、海外仕様のインバーターやバッテリーの交換は、正規ルートでは部品すら入ってこないと考えたほうが良いでしょう。もし故障したら……と想像すると、ゾッとしますよね。

「主治医」を見つける難しさと遠方のリスク

それでも逆輸入LMに乗りたいなら、ディーラーに代わる「主治医(民間整備工場)」を探さなければなりません。海外仕様の診断機を持ち、独自の部品調達ルートを持つ工場は日本国内にも存在しますが、その数はごくわずか。運よく見つかったとしても、自分の家から数百キロ離れていることもザラです。

故障のたびにレッカー車を手配し、高額な輸送費を払って修理に出す……。そんな覚悟がある人だけが、逆輸入車を所有する資格があるのかなと思います。

ココがダメ

オイル交換やタイヤ交換くらいならどこでもできますが、エンジンチェックランプが点灯した瞬間に「終わった……」と絶望するオーナーさんは少なくありません。購入前に、必ず半径50km以内で海外仕様のレクサスをメンテナンスできる工場があるか、しらみつぶしに確認しておきましょう。

アルファードの顔面移植カスタムにかかる費用相場

逆輸入のリスクがあまりに高いため、「それなら今乗っているアルファードの外装をLMに変えてしまおう!」と考える方が増えています。これが、いわゆる「LM仕様カスタム(フェイススワップ)」です。見た目はほぼレクサス、中身は信頼の日本仕様アルファード。一見すると完璧なプランに見えますが、その費用感はなかなか衝撃的ですよ。

 2つのカスタムプランとそれぞれの予算

アルファードをLM化するにあたって、目指すべきゴールは大きく分けて2つあります。どちらを選ぶかで、かかる費用は天と地ほどの差が出ます。

1. フロントバンパーのみ交換(ライトプラン)

アルファードの純正ヘッドライトを残したまま、フロントバンパーのみをレクサス風のデザインに変更します。社外品のエアロメーカーから出ている「LM風バンパー」を使用するのが一般的で、費用は塗装・工賃込みで約35万円 〜 60万円といったところ。 これなら、高級外車の入門編であるベンツのワンボックス新車価格を気にする必要もなく、比較的リーズナブルに楽しめます。

ただ、ヘッドライトの形が違うので、通が見れば一瞬で「仕様車だな」とわかってしまいます。

2. フルコンバージョン(完全移植プラン)

ボンネット、フェンダー、フロントグリル、3眼LEDヘッドライト、サイドスカート、リアテールランプ、さらにはリアゲートのガーニッシュまで、外装パーツをすべて交換します。 パーツ代だけで200万円を超え、フィッティング調整や配線加工の工賃を合わせると、総額で300万円 〜 450万円にもなります。

ベースとなるアルファードのエグゼクティブラウンジが高年式だと、車両代込みで1,200万円を超える計算になり、もはや「安いからカスタムする」という次元ではなくなります。

パーツ名 役割 重要度
3眼LEDヘッドライト レクサスの顔を作る核。配線加工が最も難しい ★★★★★
スピンドルグリル 圧倒的な存在感を演出するシンボル ★★★★★
専用フェンダー/ボンネット ライト周りのチリ(隙間)を合わせるために必須 ★★★★☆
リアゲートガーニッシュ 一文字テールのデザインを再現するために必要 ★★★☆☆
アルファードのLM仕様カスタムにおける2つのプラン費用相場と、売却時に改造車として査定が下がるリスクの警告

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カスタムのクオリティを左右する「チリ合わせ」

整備士として言わせてもらうと、このカスタムで最も重要なのはパーツ代ではなく、腕の良い板金職人による「チリ合わせ」です。レクサス純正のパネルをアルファードの骨格に合わせようとすると、数ミリ単位のズレが必ず生じます。ここを適当に処理すると、走行中に風切り音がしたり、雨漏りの原因になったりします。

「Forte(フォルテ)」さんのような有名ショップが支持されるのは、こうした見えない部分の微調整が完璧だからなんですね。

ココがおすすめ

「見た目だけLMにしたい」というなら、あえて中古のアルファード(30系前期)を安く買い、350万円かけてフルカスタムするのも一つの手です。総額800万円程度で、街中では2,000万円超えのLMと見間違われる車が手に入るわけですから、コストパフォーマンス(?)は高いと言えるかもしれませんね。

LM仕様への改造によるリセールバリューへの影響

さて、多額の費用をかけてレクサスの逆輸入やLM仕様カスタムを楽しんだ後、いつか訪れる「売却」の時、一体いくらで売れるのでしょうか?ここが、オーナー様にとって一番の誤算が生じやすいポイントです。結論から言うと、「カスタムにかかった費用は、査定ではほぼゼロ、あるいはマイナスになる」というのが冷酷な現実です。

一般的な買取店が「改造車」を嫌うワケ

あなたが300万円かけて完璧なLM仕様に仕上げたとしても、大手の買取店やトヨタのディーラー査定では「改造車(純正外)」とみなされます。 査定士のチェックリストには、外装の純正戻しができるかどうかが厳しく記載されます。もし、純正のパーツをすべて捨ててしまっていたら、査定額から「純正パーツ代+戻し工賃」が差し引かれることさえあります。

また、外装を剥がして中身を確認できない以上、買取店としては「実は大きな事故をして、その修理ついでに外装を変えたんじゃないか?」という疑念を払拭できません。そのため、通常のアルファードよりも数十万円安く買い叩かれることも珍しくないんです。

ココに注意

「お金をかけた分だけ価値が上がる」のは、クラシックカーや超希少な限定車だけの話です。一般的な現行車種のカスタムは、あくまで個人の趣味。投資としてのリターンは期待しないほうが精神衛生上よろしいかなと思います。売却の際は、必ず純正パーツをセットで引き渡せるように保管しておきましょう。

 特殊な車両を高く売るための戦略

ただし、希望がないわけではありません。こうした「LM仕様」を専門に扱うカスタムカーショップや、希少車を高く評価する専門店であれば、あなたのこだわりをプラス査定してくれる可能性があります。特に、仕上がりが非常に美しく、定期的なメンテナンス記録が整備士によってしっかり残されている個体であれば、同じ価値観を持つ次のオーナーへ、相場以上の価格で繋いでくれるかもしれません。

売却時は、一括査定などの一般的な方法だけでなく、カスタムカーの流通に強い販路を持つ店を粘り強く探すことが、後悔しないためのコツです。

高価買取を狙うためのチェックリスト

  •  カスタムに使用したパーツのブランド名と領収書を保管する
  • 純正のバンパー、ライト、グリルを傷つけずに保管しておく
  • 整備士による定期的な点検記録簿(24ヶ月点検など)を揃える
  •  一般的なディーラーではなく、カスタムカー専門店を3軒以上回る

レクサスの逆輸入は、ロマンに溢れた道ですが、同時に険しい茨の道でもあります。でも、その苦労を乗り越えて手にした一台には、正規ディーラーで買った車では味わえない愛着が湧くのも事実。もしあなたが、こうしたリスクをすべて理解した上でも「あの顔のミニバンに乗りたい!」と思うなら、私は全力で応援したいかなと思います。

大切なのは、知識を持って選択することですからね。

 

レクサスの逆輸入よりアルファードとの違いを理解する

  • 国内発売された新型レクサスLM500hの最新相場
  • 40系アルファードとLMの乗り心地や剛性の差
  • 48インチモニターが象徴する内装装備の決定的な違い
  • 1000万円以上の価格差に見合う価値があるかの検証
  • よくある質問
  • 理想のレクサスや逆輸入のアルファード選びのまとめ

国内発売された新型レクサスLM500hの最新相場

2023年秋、日本の自動車ファンが待ちに待った瞬間が訪れました。2代目となる新型レクサスLM(TAWH40型)が、ついに日本国内で正式に発売されたのです。これにより、これまでお話ししてきた「苦労してレクサスを逆輸入する」という必要性は、現行モデルに関しては完全になくなりました。

しかし、その価格設定は、ベースとなるアルファードを遥かに凌駕する「別次元」の領域に達しています。

2023年に日本上陸したレクサスLM500hのEXECUTIVEとVersion Lの価格・グレード紹介

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現在、国内で展開されているのは、最高峰の4人乗り仕様「EXECUTIVE(エグゼクティブ)」と、より実用的な6人乗り仕様「Version L」の2種類です。新車価格は、4人乗りが2,000万円、6人乗りが1,500万円。整備士の視点から見ても、これほど高額な国産ミニバンが街を走る時代が来るとは、数年前には想像もできませんでした。

以前解説したレクサスのグレードを低い順に比較した記事でも触れましたが、LMはレクサスラインナップの中でも完全に「頂点」に君臨するモデルと言えます。

中古車市場における驚きのプレ値と現状

発売当初は、アルファード40系と同様に深刻な納期遅延が発生し、中古車市場では新車価格を超える「プレミアム価格」で取引されていました。2024年初頭には、4人乗り仕様が2,500万円近いプライスで店頭に並ぶことも珍しくありませんでしたが、2025年から2026年にかけては供給が安定し始め、相場は少しずつ落ち着きを見せています。

モデル・グレード 新車価格(税込) 2026年現在の中古相場 リセール傾向
LM500h EXECUTIVE (4人乗り) 20,000,000円 1,750万 〜 1,950万円 高額ゆえに横ばい
LM500h Version L (6人乗り) 15,000,000円 1,450万 〜 1,600万円 実需が高く値落ちしにくい

現状では、かつての異常な高騰は収まりつつありますが、それでも「即納」できる個体には依然として価値があります。なぜポルシェの新車は買えないのかという状況と似ていますが、レクサスLMもまた、特定の層からの需要が極めて強いため、大幅な値崩れは当面考えにくいかなと思います。

中古で探す際は、走行距離よりも「法人ワンオーナー」などの素性の良さを重視するのが、整備士としての私のアドバイスです。

40系アルファードとLMの乗り心地や剛性の差

「アルファードにレクサスのバッジを付けただけで、中身は一緒じゃないの?」という声をよく聞きます。確かに、プラットフォーム(GA-K)の基本骨格は共通ですが、その作り込みの深さは、まさに「執念」とも言えるレベルで異なります。これは、一度ジャッキアップして下回りを見たり、実際にステアリングを握ったりすれば、素人目にもはっきりと分かるほどの差なんです。

見えない部分への莫大な投資:ボディ剛性

LMのボディには、アルファードには採用されていない特別な補強が随所に施されています。具体的には、レーザースクリューウェルディング(LSW)という最新の溶接技術の打点を大幅に増やし、さらに構造用接着剤の塗布範囲をこれでもかというほど拡大しています。

特に、開口部が大きく剛性が弱くなりがちなスライドドア周りやリアゲート周辺のガッチリ感は、アルファードとは比較になりません。

ココがポイント

ボディ剛性が高いということは、単に丈夫というだけでなく、「サスペンションが設計通りに動く」ということを意味します。これが、LM特有の微振動を一切感じさせない、シルクのような乗り心地の源泉になっているんですね。まさに長距離でも疲れないレクサスの代名詞と言っても過言ではありません。

世界初、周波数感応バルブ付きAVSの威力

足回りに関しても、LMには専用チューニングが施されています。特に注目すべきは、路面からの入力周波数に応じて減衰力を瞬時に切り替える「周波数感応バルブ付AVS(Adaptive Variable Suspension)」の採用です。段差を乗り越えた際の「トンッ」という衝撃の角が丸められ、まるで空中に浮いているような感覚。

これに加え、後席の乗員の頭の揺れを最小限に抑える「Rear Comfort(リヤコンフォート)モード」は、加速・減速時のピッチングまで制御する優れものです。これらはアルファードのエグゼクティブラウンジでも到達できていない、LMだけの聖域と言えるでしょう。

レクサスLMのボディ剛性(溶接・接着剤)、静粛性、世界初採用の周波数感応バルブ付AVSによる乗り心地の進化

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(出典:レクサス公式サイト『LM 主要諸元・パフォーマンス』)

エンジニアが語る、ボディ剛性と静粛性へのこだわりについては、メーカーの公式資料に詳しく記載されています。物理的なメカニズムを知ると、あの価格差の理由がより納得できるはずです。

48インチモニターが象徴する内装装備の決定的な違い

LMのドアを開けた瞬間、誰もが言葉を失うのが、4人乗り仕様「EXECUTIVE」に搭載された48インチ大型ワイドディスプレイです。前席と後席を完全に隔てるパーティションに埋め込まれたこの画面は、もはや「車の装備」という枠を完全に超えています。アルファードのリアエンターテインメントシステムが14インチであることを考えると、その差は3倍以上。

これは単なる見栄えの問題ではなく、後席での「過ごし方」を根本から変えてしまう装置なんです。

48インチモニターが実現する「動く書斎」

この巨大モニターは、左右で分割して別々のコンテンツを映し出すことが可能です。例えば、右側の席ではオンライン会議に出席し、左側の席では映画を楽しむ、といった使い方ができます。さらに、パーティション上部には「調光ガラス」が採用されており、スイッチ一つで透明から不透明へと切り替わります。

運転手さんに会話を聞かれたくない密談や、プライバシーを完全に確保したいシーンでは、これ以上の装備はありません。アルファードにもパーティション風のカスタムは存在しますが、メーカー純正としてこれほど完璧にシステム化されたものは、世界中を探しても他に類を見ません。

さらに詳しく

シート自体の作りも別格です。LMのシートには、乗員の体温を検知するIR(赤外線)センサーが搭載されており、顔、胸元、太もも、足元の各部位がどれくらい熱を感じているかを推定。それに基づいてエアコンやシートヒーターを統合制御する「クライメイトコンシェルジュ」が、常に理想的な温度空間を提供してくれます。整備士の私から見ても、これほど複雑な電装制御を完璧にこなす技術力には脱帽するしかありません。

静粛性の極致:アコースティックガラスと吸音材

レクサスLMの後席装備、48インチ大型ワイドディスプレイと完全なプライバシーを確保する調光ガラスパーティション

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内装の豪華さばかりが目立ちますが、特筆すべきは「音」の遮断です。LMには全窓にアコースティックガラスが採用されているのはもちろん、車内のマイクでノイズを拾い、逆位相の音を出して打ち消す「アクティブノイズコントロール」が全車標準装備です。アルファードでも十分静かだと感じますが、LMに乗り換えると「今まで聞こえていたロードノイズは何だったのか」と感じるほど。まさに、録音スタジオの中にいるような静寂を移動しながら手に入れることができるんです。

1000万円以上の価格差に見合う価値があるかの検証

さて、現実的なお話をしましょう。アルファード40系のエグゼクティブラウンジ(約870万円)と、レクサスLM500h(2,000万円)。その差額は実に1,130万円にのぼります。これだけの金額があれば、もう一台高級車が買えてしまうレベルですよね。果たして、この価格差に「合理的な価値」はあるのでしょうか?

結論から言うと、これは「自動車としてのコスパ」を求めている人には、到底理解できない世界です。しかし、企業のトップやVIP、あるいは最高の家族サービスを追求する方にとっては、この差額は「時間と空間の質」への投資として成立します。例えば、移動中に完璧なプライバシーの中で仕事に集中できたり、家族が一切の疲れを感じずに旅行を楽しめたりすることに、1,000万円の価値を見出せるかどうか。これがLMを選ぶかアルファードで留まるかの分岐点かなと思います。

メモ

輸入車と比較してみると、さらに面白いことがわかります。例えば、以前記事にしたベンツのVクラス新型価格も高騰していますが、あちらはどちらかというと「高級な道具」としての魅力。対するLMは、まさに「動くスイートルーム」であり、ラグジュアリーの方向性が全く異なります。国産車ならではの信頼性を兼ね備えた唯一無二の存在と言えますね。

整備士が考える「LMを選ぶべき人」の条件

私のような整備士がお客様にアドバイスするなら、以下の3点に当てはまるならLMに行くべき、とお伝えします。

  1. 後席がメインステージである: 自分が運転する時間はほとんどなく、常に後席で過ごす、あるいは大切な人を乗せる。
  2. ブランドによる「無形のサービス」を重視する: レクサスオーナーズカードによるラウンジ利用や、24時間対応のオーナーズデスクなど、車以外の付加価値に魅力を感じる。
  3. 最新の安全・快適装備を誰よりも早く体験したい: 48インチモニターや専用AVSなど、現在の技術の粋を享受したい。

逆に、自分で運転するのが好きで、たまに家族を乗せる程度であれば、アルファードでも十分に幸せになれます。むしろ、40系アルファードの完成度があまりに高いため、無理をしてまでLMを買う必要はない、というのが私の正直な意見でもありますね。どちらを選んでも後悔しないほど、今の日本のミニバン技術は世界一だと言えます。

よくある質問

Q:レクサスの逆輸入車を国内の正規ディーラーで整備することは可能ですか?

A:原則として、正規ディーラーでは並行輸入車の入庫を断られるケースがほとんどです。専用診断機の非互換性や部品調達の困難さが理由であるため、購入前に輸入車に強い民間整備工場の確保が必須となります。

Q:アルファードをレクサスLM仕様にカスタムする際の費用相場を教えてください。

A:バンパーのみを交換する簡易的なスタイルであれば30〜60万円程度ですが、外装の主要パーツをすべて移植する「フルコンバージョン」の場合は、工賃込みで300〜450万円ほどが目安となります。

Q:左ハンドルのレクサスLMを日本で所有する際の注意点はありますか?

A:右折時の視界確保が難しくなるほか、国内のコインパーキングや料金所といったインフラの利用時に著しい不便が生じます。また、国内登録には灯火類などの法適合改善作業に数十万円のコストがかかります。

Q:新型レクサスLMはアルファードと比較して、1000万円以上の価格差に見合う価値がありますか?

A:ボディ剛性の大幅な強化や専用AVSによる極上の乗り心地、48インチモニターを備えた究極のプライベート空間など、移動時間を「価値ある体験」に変えたいVIP層にとっては、唯一無二の価値があると言えます。

理想のレクサスや逆輸入のアルファード選びのまとめ

後席重視・運転重視・スタイル重視の3パターンから選ぶ、レクサスLMとアルファードの購入ガイド結論

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これまで、レクサスの逆輸入やアルファードのLM仕様カスタム、そして最新の国内正規版LM500hについて、多角的に分析してきました。こうして振り返ってみると、高級ミニバンを取り巻く環境は、ここ数年で劇的に変化したことが分かります。

かつては「日本で買えない」という希少性が、不便な左ハンドルやメンテナンスのリスクを承知でレクサスを逆輸入させる原動力となっていました。しかし、2026年現在の視点で見れば、あえて逆輸入を選ぶメリットは非常に限られています。特にハイブリッドシステムや先進安全装備(Lexus Safety System +)の複雑さを考えると、国内正規モデルを選択することが、長期的な維持費や安心感において圧倒的に有利であることは間違いありません。

もしSUVに興味があるなら、以前ご紹介したレクサス逆輸入SUVの現実に関する記事も、判断材料の一つとして役に立つはずです。

あなたにぴったりの選択肢はどれ?


「本物」の至高を追求するなら: 国内正規版のレクサスLM500h EXECUTIVE。
コスパとステータスの両立なら: 30系または40系アルファード。必要に応じて有名ショップでのLM仕様カスタム。
唯一無二のこだわりを貫くなら: 初代LMの逆輸入。ただし、腕の良い整備士と厚い財布が必須です!

自動車は、人生を豊かにするための素晴らしいツールです。レクサスLMもアルファードも、それぞれのオーナー様のライフスタイルを輝かせてくれる名車であることに変わりはありません。整備士として私が最も願うのは、皆さんが「この車を選んで本当によかった!」と笑顔でドライブを楽しんでくださることです。

この記事が、あなたの理想の一台を見つけるための、確かな道標となったなら幸いです。もし、メンテナンスや購入後のカスタムで悩むことがあれば、いつでも信頼できるプロのメカニックに相談してくださいね。プレミアムカージャーナルでは、これからもあなたのカーライフを支える、誠実でリアルな情報を発信し続けていきます!

チェックリスト

  • 並行輸入車は必ず「メンテナンス拠点」を確保してから購入する
  • カスタム車は「純正戻し」を想定してパーツを保管しておく
  • アルファードとLMの差額は「空間の質への投資」と捉える
  • 最新の納期や価格情報は、必ずお近くの正規ディーラーで確認する

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!また次の記事でお会いしましょう。

次は、あなたの理想を叶える「究極のミニバン」で、新しい景色を見に行きませんか?

海沿いを走るレクサスLMの後ろ姿と、後悔のない選択をしてライフスタイルを輝かせるためのメッセージ

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神崎悠真

神崎 悠真(1級自動車整備士)                       元大手メーカー勤務。現在は高級車を中心に扱う現役のメカニック兼、自動車検査員です。このブログでは、カタログのスペック表には載っていない**「故障リスク」や「本当の資産価値」**について、整備士の視点から忖度なしで解説します。                                  車選びで失敗したくない方は、ぜひ私の経歴をご覧ください。                                             資格一覧                                         自動車整備士一級、自動車検査員、中古自動車査定員、低圧電気取扱者、大型自動車第一種運転免許、中型自動車第一種運転免許、準中型自動車第一種運転免許、普通自動車第一種運転免許、牽引自動車第一種運転免許証、甲種危険物取扱者、ガス溶接技能講習修了証、全工協主催 基礎製図検定・機械製図検定、全工協主催 情報技術検定、フォークリフト運転技能講習修了証(最大荷重1t以上)、半自動溶接適格性証明書専門級、玉掛け技能講習修了証、床上操作式クレーン運転技能講習修了証(つり上荷重5t以上)、産業車両整備技能士特急、ジュニアマイスターゴールド認定

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