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アウディS3の欠点と故障リスク!後悔しないためのオーナーシップ論

神崎悠真

神崎 悠真(1級自動車整備士)                       元大手メーカー勤務。現在は高級車を中心に扱う現役のメカニック兼、自動車検査員です。このブログでは、カタログのスペック表には載っていない**「故障リスク」や「本当の資産価値」**について、整備士の視点から忖度なしで解説します。                                  車選びで失敗したくない方は、ぜひ私の経歴をご覧ください。                                             資格一覧                                         自動車整備士一級、自動車検査員、中古自動車査定員、低圧電気取扱者、大型自動車第一種運転免許、中型自動車第一種運転免許、準中型自動車第一種運転免許、普通自動車第一種運転免許、牽引自動車第一種運転免許証、甲種危険物取扱者、ガス溶接技能講習修了証、全工協主催 基礎製図検定・機械製図検定、全工協主催 情報技術検定、フォークリフト運転技能講習修了証(最大荷重1t以上)、半自動溶接適格性証明書専門級、玉掛け技能講習修了証、床上操作式クレーン運転技能講習修了証(つり上荷重5t以上)、産業車両整備技能士特急、ジュニアマイスターゴールド認定

はじめまして! このブログ「プレミアムカージャーナル」の運営責任者であり、現役の整備士を務めております、神崎悠真(かんざき ゆうま)と申します。

ドイツの技術力が詰まったプレミアムコンパクト、アウディS3。その洗練されたデザインや300馬力に迫るカタログスペックに惹かれる一方で、検索窓に「アウディ S3 欠点」や「故障」といったキーワードを打ち込み、購入を迷っている方も多いのではないでしょうか。

決して安くはない買い物ですから、「買ってから後悔したくない」「維持しきれるか不安だ」と考えるのは当然のことです。私自身、整備の現場で多くのS3を見てきましたが、確かにこの車には所有する前に知っておくべき明確な弱点や、国産車とは比較にならない維持費のリスクが存在します。

しかし、それらのネガティブな要素を正しく理解し、適切な対策(予防整備)を講じることができれば、S3はあなたの期待を大きく超える、人生最高の相棒になってくれるはずです。この記事では、カタログやセールストークでは語られない「整備士が見たS3の真実」を包み隠さずお話しします。

アウディS3の魅力的なパフォーマンスと知っておくべき故障リスクの対比" title="アウディS3の光と影:オーナーシップの現実

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記事のポイント

  • アウディS3特有の故障しやすい箇所と、修理にかかる費用のリアルな相場
  • 所有者が実際に直面している維持費の現実と燃費性能
  • カタログには載っていない乗り心地や居住性の辛口評価
  • 中古車選びで絶対に失敗しないためのチェックポイント

故障リスクに見るアウディS3の欠点

現役整備士が挙げるアウディS3の三大弱点:冷却水漏れ、Sトロニック、オイル消費" title="アウディS3が抱える3つの構造的弱点

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  • 定番である冷却水漏れの修理費用
  • Sトロニック故障の前兆と対策
  • エンジンのオイル消費トラブル
  • 誰もが気にする維持費と車検代
  • 悪いと評判の燃費性能の実態

定番である冷却水漏れの修理費用

アウディS3、ひいてはフォルクスワーゲングループのMQBプラットフォームを採用している車両(ゴルフRなど)において、もっとも頻繁に遭遇し、かつ多くのオーナー様を悩ませるトラブルの筆頭が「冷却水(クーラント)漏れ」です。

これは単なる偶発的な故障というよりも、構造的な弱点に起因するものであり、経年劣化とともにほぼ全ての個体に訪れる「通過儀礼」と捉えていただいた方が精神衛生上よいかもしれません。

このトラブルの根本的な原因は、エンジンの冷却を制御する重要部品「サーモスタット一体型ウォーターポンプ」の素材選定にあります。近年の欧州車は、燃費向上のための軽量化と製造コスト削減を徹底しており、このウォーターポンプのハウジング(筐体)にも樹脂製パーツが採用されています。

しかし、樹脂は金属に比べて熱による耐久性が低く、エンジンの激しい熱サイクル(加熱と冷却の繰り返し)に長期間さらされることで、素材自体が硬化・収縮し、徐々に変形してしまいます。

アウディS3の樹脂製ウォーターポンプが熱変形して水漏れを起こす仕組み" title="冷却水漏れの原因:樹脂パーツの熱変形

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その結果、エンジンブロックとの接合面にあるガスケット(パッキン)のシール機能が維持できなくなったり、最悪の場合は樹脂製のハウジング自体に微細なクラック(亀裂)が入ったりして、そこから冷却水が「じわじわ」と、あるいはある日突然「ボタボタ」と漏れ出してくるのです。特に走行距離が3万キロから5万キロを超えたあたりから発生リスクが急激に高まります。

こんな症状が出たら要注意

  • 車から降りたとき、ボンネットの隙間から甘い匂い(メープルシロップのようなクーラント特有の臭気)が漂ってくる。
  • 駐車場の地面、特にエンジンルームの向かって左側(車両右側)付近に、ピンク色や緑色の液体のシミが残っている。
  • メーターパネルに「冷却水レベル低下」の警告灯が点灯し、リザーバータンクを確認するとMINレベルを下回っている。

もしこれらの予兆を感じたら、放置せずにすぐに点検を受けてください。漏れが進行して冷却水が不足すると、オーバーヒートを引き起こし、エンジンヘッドの歪みなど、エンジン本体に致命的なダメージを与える可能性があります。

そして、気になる修理費用についてですが、これがまた頭の痛い問題です。ウォーターポンプユニットはインテークマニホールド(吸気管)の下という非常に奥まった場所に設置されているため、交換作業にはマニホールドやフューエルラインなど、周辺部品を多数取り外す必要があり、部品代以上に工賃が高額になりがちです。

正規ディーラーで純正部品を使用してアッセンブリー交換(一式交換)を行うと、総額で15万円から25万円程度の出費となるケースが一般的です。街の整備工場やアウディ専門店であれば、OEMパーツを使うことで多少コストを抑えることは可能ですが、それでも10万円前後の出費は覚悟する必要があります。

Sトロニック故障の前兆と対策

アウディS3の魅力である、電光石火のシフトチェンジとダイレクトな加速感を実現しているのが、デュアルクラッチトランスミッション「Sトロニック」です。しかし、この高度な変速機もまた、S3オーナーが恐れる高額修理リスクの一つです。

S3(8V型以降)には、比較的耐久性が高いとされる「湿式」の多板クラッチ(6速DQ250または7速DQ381)が採用されていますが、それでも機械的な寿命や制御系のトラブルとは無縁ではありません。

Sトロニックの故障で最も多いのが、変速制御を司る頭脳部分である「メカトロニクス(Mechatronic unit)」の不具合です。このユニットは精密な油圧制御バルブ(ソレノイドバルブ)と電子基板が一体化されており、高温になるトランスミッション内部に設置されています。

長年の熱害による基板のハンダ割れや、内部のスラッジ(鉄粉や汚れ)の蓄積によるバルブの固着が発生すると、正常な油圧制御ができなくなります。

具体的な症状としては、発進時や停止直前に「ガツン」という大きな変速ショック(ジャダー)が発生したり、「奇数段(1・3・5・7速)」または「偶数段(2・4・6速)」のどちらかにしかギアが入らなくなったりします。

さらに症状が悪化すると、メーターに「ギアボックスエラー:走行不可」という絶望的な警告が表示され、ギアがニュートラル状態で固定され、完全に動けなくなってしまいます。

アウディS3のメーターに表示されるギアボックスエラーと走行不可の警告" title="Sトロニック故障時の警告表示と修理費用目安

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修理費用は非常に高額です。ディーラーでメカトロニクスのアッセンブリー交換を行う場合、部品代と工賃を含めて30万円〜60万円程度の見積もりが提示されることが多いです。

さらに、もしクラッチパックの摩耗やギア自体の破損が見つかり、トランスミッションごとの載せ替え(交換)が必要と判断された場合は、100万円〜300万円という、車両の残存価値に匹敵する、あるいはそれを超えるほどの請求額になることも珍しくありません。

整備士からのアドバイス:転ばぬ先のオイル交換

Sトロニックのトラブルを未然に防ぐ、あるいは寿命を延ばすための唯一にして最大の対策は、定期的な「Sトロニックオイル(DSGオイル)」の交換です。メーカー推奨サイクルは6万キロ毎など長めに設定されていますが、日本の過酷な交通環境(ストップ&ゴーや渋滞、高温多湿)を考慮すると、私は3万キロ〜4万キロごとの交換を強くおすすめしています。
オイルと同時にフィルターも交換することで、スラッジによるメカトロニクスの詰まりを予防できます。

エンジンのオイル消費トラブル

「アウディやワーゲンのエンジンはオイルが減る」という噂を耳にしたことがある方も多いでしょう。結論から申し上げますと、これは都市伝説ではなく事実です。

S3に搭載されているEA888型2.0リッター直列4気筒ターボエンジンなどの直噴ユニットは、シリンダー壁面の油膜を厚めに保持して摩擦抵抗を減らす設計思想や、ブローバイガスの処理構造などの影響で、ある程度のエンジンオイル消費は「仕様」として許容されています。

メーカーの取扱説明書にも「1,000km走行あたり最大0.5リットルのオイルを消費することがある」といった記載があるほどです。しかし、この許容範囲を超えて急激にオイルが減る場合や、頻繁に(例えば1,000km走らないうちに)オイル補充の警告灯が点灯する場合は、単なる仕様ではなく故障を疑う必要があります。

故障の原因としてよく見られるのが、「PCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブ」の不具合です。これはクランクケース内の圧力を調整し、ブローバイガスを吸気系に戻すための弁ですが、内部のゴム製ダイヤフラムが経年劣化で破れることがあります。

すると、エンジンの負圧調整がうまくいかず、クランクケース内のオイルミストが過剰にインテークマニホールドへ吸い出され、燃焼室で燃やされてしまいます。

これにより、オイルが急速に減るだけでなく、吸気バルブへの過度なカーボン堆積を招いたり、アイドリングが不安定になったり、最悪の場合はクランクケース内の内圧が上がりすぎてシール類に負担がかかり、オイル漏れ(リアクランクシールからの漏れなど)を併発したりすることもあります。

直噴エンジンの宿命「カーボン堆積」

オイル消費とは別に、直噴エンジンの構造上避けられないのがインテークバルブへの「カーボン(煤)の堆積」です。ポート噴射エンジンのようにガソリンでバルブが洗浄されないため、ブローバイガスに含まれるオイル成分が熱で焼き付きます。
走行距離5万キロを超えたあたりから、アイドリングの微振動やレスポンスの悪化を感じる場合、カーボン除去のメンテナンス(クルミの殻を使ったブラスト洗浄など)が必要になることもあります。

誰もが気にする維持費と車検代

「S3はゴルフRと兄弟車だし、プラットフォームも部品も共通だから、維持費もフォルクスワーゲン並みで済むだろう」と考えていると、実際に請求書を見たときに驚かれるかもしれません。

確かにメカニカルな部品は共通のものが多いですが、正規ディーラーでの作業工賃(レバレート:1時間あたりの作業単価)は、ブランドのプレミアム性に合わせてフォルクスワーゲンよりもアウディの方が高く設定されているのが一般的です。同じ部品を交換するにしても、「アウディの看板」の下で行うだけで費用が跳ね上がる、いわゆる「アウディ税」のような現象が存在します。

アウディS3の維持費内訳:オイル消費、高額なブレーキ・タイヤ交換費用" title="アウディS3の維持費とアウディ税の現実

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車検費用については、新車から1回目の車検(3年目)であれば、走行距離も少なく交換部品も限定的であるため、法定費用を含めて15万円〜20万円程度で収まることもあります。しかし、問題は2回目(5年目)、3回目(7年目)以降の車検です。

S3のようなハイパフォーマンスカーは、ブレーキやタイヤなどの消耗品も高性能な高額パーツが使われており、それらの交換時期が重なると車検費用は一気に膨れ上がります。

実際にS3を所有している人がどのような属性で、具体的にどれくらいの維持費がかかっているのか、詳細なシミュレーションを知りたい方は、アウディS3にどんな人が乗る?後悔しないための所有者属性と維持費の記事も合わせてご覧ください。

交換項目 費用目安(部品代+工賃) 備考
高性能バッテリー(AGM) 5万円 〜 8万円 アイドリングストップ対応品は高額です。
ブレーキパッド・ローター(1台分) 15万円 〜 25万円 Sモデルは大径ローターのため高価です。
タイヤ交換(18/19インチ) 10万円 〜 20万円 ミシュランPS4S等の場合。銘柄で変動します。
Sトロニックオイル交換 4万円 〜 6万円 フィルター込み。必須メンテです。

例えば、タイヤ交換とブレーキ周りのリフレッシュ、さらにバッテリー交換が重なった場合、車検の総額見積もりが30万円〜50万円、あるいはそれ以上になることも決して珍しい話ではありません。「車両本体は中古で安く買えても、維持ができずに手放す」というケースの多くは、こうした消耗品の交換コストを甘く見ていたことが原因です。

少しでも維持費を抑えるためには、メーカー保証(新車保証や延長保証)が切れた後は、アウディやフォルクスワーゲンの整備を得意とする専門ショップ(スペシャルショップ)を頼るのが賢明です。OEMパーツや社外優良部品をうまく活用することで、ディーラー価格の7割〜8割程度に抑えられる可能性があります。

悪いと評判の燃費性能の実態

S3オーナーになる以上、燃費性能についてはある程度の「割り切り」が必要です。S3には「シリンダーオンデマンド(気筒休止システム)」や、走行中にクラッチを切って惰性走行する「コースティングモード」など、燃費を向上させるための最新技術が盛り込まれています。

しかし、300馬力近いパワーを絞り出す2.0リッターターボエンジンと、常時四輪を駆動するクワトロシステムの組み合わせは、物理的に燃料を消費します。

私がお客様から伺ったデータや実体験を集約すると、日本の都市部での日常使用(通勤や買い物、信号待ちが多い環境)における実燃費は、リッター7km〜9kmあたりが現実的な数値です。夏場にエアコンをフル稼働させ、渋滞に巻き込まれればリッター6km台に落ち込むことも覚悟しなければなりません。

一方で、高速道路を法定速度で淡々と巡航するようなシーンでは、気筒休止システムの効果が発揮され、リッター13km〜17km程度まで驚くほど伸びることがあります。S3は「踏めば極悪、流せば優秀」という二面性を持った車なのです。

ココがダメ

燃料はもちろんハイオク(プレミアムガソリン)指定です。昨今のガソリン価格高騰を考えると、満タン給油(約55リットル)のたびに1万円札が飛んでいく感覚になります。
ハイブリッドカーや最新のクリーンディーゼル車から乗り換える方は、給油頻度の高さと月々の燃料代の増加に最初はショックを受けるかもしれません。「この燃費の悪さは、圧倒的な速さと安定感を手に入れるための必要経費だ」と納得できるかどうかが、S3オーナーになれるかどうかの分かれ道と言えるでしょう。

アウディS3の欠点と購入時の注意点

  • 乗り心地の硬さとロードノイズ
  • 内装の質感や使い勝手への不満
  • 後部座席の狭さが招く後悔
  • 中古車購入で失敗しないポイント
  • よくある質問
  • アウディS3の欠点を受け入れる価値

乗り心地の硬さとロードノイズ

S3は「スポーツモデル」としての性格が色濃く、足回りのセッティングは明確に引き締められています。標準で18インチ、オプションや後期モデルでは19インチという大径かつ低扁平(タイヤの厚みが薄い)タイヤを装着しており、路面からの入力はダイレクトに車体に伝わります。

運転席でステアリングを握っているドライバーにとっては、路面の状況が手に取るようにわかるため「スポーティで安心感がある」と感じられますが、助手席や後部座席の同乗者にとっては話が別です。

特にマンホールや道路の継ぎ目を越えた際の「ドンッ」という突き上げ感や、荒れた路面での細かな振動は、車に詳しくない家族やパートナーからは「乗り心地が悪い」「疲れる」と不評を買う原因になりがちです。

また、ロードノイズ(タイヤが転がる音)の侵入も、プレミアムブランドのセダンとして期待するレベルよりは大きめです。高速道路で荒れたアスファルト区間を走行すると、「ゴーッ」という低周波のノイズが車内に響き渡り、オーディオの音が聞き取りにくくなったり、後席との会話で声を張る必要があったりします。

純正で装着されている「マグネティックライド(磁性流体ダンパー)」や「ダンピングコントロールサスペンション」付きの車両であれば、ドライブセレクトで「コンフォート」モードを選ぶことで多少は角が取れた乗り心地になりますが、それでもクラウンやレクサスのような「ふんわりとした快適さ」は望めません。

タイヤ選びで改善も可能

もし家族からのクレームが心配で、サーキット走行などもしないのであれば、次のタイヤ交換のタイミングで「ブリヂストン REGNO」や「ミシュラン Primacy」といった、静粛性と乗り心地を重視したコンフォートタイヤ(プレミアムコンフォート)を選ぶのも有効な手段です。
ハンドリングの鋭さは多少マイルドになりますが、日常域での快適性は劇的に改善し、ロードノイズも大幅に低減します。

内装の質感や使い勝手への不満

インテリアに関しては、世代によって評価が大きく分かれるポイントです。先代の8V型(2013年〜2020年)は、格納式のモニターや、クリック感の素晴らしいロータリースイッチなど、アナログとデジタルが融合した操作性の良さが高く評価されていました。

一方、現行の8Y型(2021年〜)では、コクピットのデジタル化が一気に進みました。物理ボタンの多くが廃止され、MMI(マルチメディアインターフェース)のタッチパネル操作に集約されています。「先進的で未来感がある」と好意的に受け取る層がいる一方で、実際のオーナーからはユーザビリティの低下を嘆く声も少なくありません。

具体的には、「走行中の揺れで正確なタッチ操作が難しく、ブラインドタッチができない」「指紋で画面が汚れて見栄えが悪い」「エアコンの温度調整やシートヒーターの操作など、頻繁に使う機能へのアクセスが面倒になった」といった不満です。また、ソフトウェアのバグによるブラックアウトや、CarPlay接続の不安定さも報告されています。

さらに、8Y型ではシフトノブが従来のグリップタイプから、指先でつまんで操作する小さなトグルスイッチ(ポルシェ911のような形状)に変更されました。センターコンソール周りがスッキリした反面、「シフト操作をする楽しみが消えた」「左手の置き場がない」と寂しさを感じる方もいます。

内装の一部(ドアパネル上部やダッシュボード下部など)にハードプラスチックが多用されている点も含め、価格上昇に対して「質感がコストダウンされた」と感じる既存ユーザーが多いのも事実です。

後部座席の狭さが招く後悔

アウディA3/S3セダンは、Cセグメントの中でも特にスタイリッシュなデザインを優先しており、クーペのように滑らかに傾斜したルーフラインが特徴です。しかし、その美しいシルエットの代償として、後部座席の居住空間は犠牲になっています。

身長175cm以上の男性が後席に座ると、頭髪が天井に触れるか触れないかというギリギリのヘッドクリアランスしかありません。また、フロントシートにボリュームのあるスポーツシートが装着されている場合、後席乗員の膝前のスペース(ニースペース)も拳1個〜1.5個分程度しかなく、足を組むことは不可能です。

さらに、クワトロシステム(プロペラシャフト)を通すために床のセンタートンネルが大きく盛り上がっているため、実質的には左右2名乗車が限界で、中央席に大人が座るのは拷問に近いでしょう。

小さなお子様がいる家庭でも注意が必要です。チャイルドシート、特に回転式の大型タイプを装着しようとすると、ドアの開口部がそれほど広くないため、乗せ降ろしに苦労することがあります。また、前席のバックレストまでの距離が近いため、子供が足をバタつかせるとすぐに前席の背中を蹴られてしまいます。

トランクも少し浅いです

積載性についても確認が必要です。S3はリアにディファレンシャルギアなどの駆動系部品を搭載しているため、通常のA3(FFモデル)と比較してトランクフロアの位置が高く設定されています(かさ上げされています)。そのため、荷室の深さが浅くなっており、大きなスーツケースや高さのある荷物を積む際には工夫が必要です。
ゴルフバッグも横置きは厳しく、リアシートを倒さないと積めないケースが多いです。「4ドアセダンだからファミリーカーとして万能に使える」と思い込んで購入すると、後で実用性の低さに後悔する可能性があります。

中古車購入で失敗しないポイント

新車価格が上昇を続ける中、比較的手の届きやすい価格帯になってきた中古のS3(特に先代8V型)を検討されている方も多いでしょう。しかし、高性能車の中古購入はリスクと隣り合わせです。安物買いの銭失いにならないよう、現役整備士の視点で「絶対にチェックすべき3つのポイント」を伝授します。

中古のアウディS3購入時に確認すべき3つの鉄則:記録簿、水回り、試乗" title="失敗しない中古S3選びの鉄則チェックリスト

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中古S3選びの鉄則チェックリスト

  1. 整備記録簿の徹底確認(Sトロニックオイル履歴):
    エンジンのオイル交換履歴はもちろんですが、最も重要なのは「Sトロニックオイル」と「ハルデックスオイル(4WD用オイル)」の交換履歴です。もし、走行距離が5万キロを超えているのにこれらが一度も交換されていない個体は、購入後にトランスミッションや4WDシステムが故障するリスクが極めて高いため、避けたほうが無難です。
  2. 水回りの目視点検:
    ボンネットを開けて、冷却水のリザーバータンク(球体状のタンク)を確認してください。水量が「MIN」を下回っていないか、冷却水の色が茶色く濁っていないかを見ます。また、鼻を近づけて甘い匂いがしないかも確認しましょう。もし可能なら、エンジン下部のアンダーカバーに液漏れの跡がないかもチェックしたいところです。
  3. 試乗での官能評価:
    必ず試乗を行ってください。冷間時(エンジン始動直後)にチェーンのガラガラ音がしないか、Dレンジに入れてブレーキを離した瞬間にスムーズに動き出すか(ジャダーがないか)、ハンドルを一杯に切って旋回した際にリアから「ゴゴゴ」という異音がしないか(ハルデックスの異常)を確認します。窓の開閉で「ガリガリ」という音がする場合、レギュレーターの寿命が近いです。

中古のアウディ選びに関しては、アウディの中古はやばい?故障リスクと後悔しない選び方という記事でもさらに詳しく解説していますので、購入前にぜひチェックしてみてください。

また、アウディを含む輸入車のリコール情報は、国土交通省のデータベースで確認することができます。検討している年式のモデルに未対策のリコールがないか、あるいは頻発している不具合情報がないかを事前にチェックすることも、賢い車選びの第一歩です。

(出典:国土交通省『自動車のリコール・不具合情報』

多少価格が高くても、ディーラーの認定中古車(Audi Approved Automobile)を選ぶことを強く推奨します。1年以上の充実した保証が付帯しており、納車前に徹底的な整備が行われるため、購入直後の高額修理リスクを最小限に抑えることができます。

よくある質問

Q:アウディS3で最も多い故障やトラブルは何ですか?

A:最も頻発するのは「冷却水漏れ(ウォーターポンプの破損)」と「Sトロニック(変速機)の故障」です。特に水漏れは樹脂製部品の劣化により、多くの個体で発生する定番トラブルとなっています。

Q:S3の維持費や車検費用は国産車と比べて高いですか?

A:はい、高くなる傾向にあります。部品代や工賃(アウディ税)が高く、特にタイヤやブレーキなどの消耗品交換が重なる車検(5年目以降など)では、総額30万円〜50万円程度かかることも珍しくありません。

Q:アウディS3の実燃費はどれくらいですか?

A:街乗りではリッター7〜9km程度、高速道路の巡航では気筒休止システムの効果でリッター13〜17km程度まで伸びます。ただしハイオク指定のため、燃料費は決して安くはありません。

Q:中古のアウディS3を購入する際、絶対に確認すべき点は?

A:整備記録簿で「Sトロニックオイル」と「ハルデックスオイル」の交換履歴を必ず確認してください。また、試乗して変速ショックや異音がないか、冷却水漏れの甘い匂いがしないかのチェックも不可欠です。

アウディS3の欠点を受け入れる価値

アウディS3のステアリングを握るコックピット視点とオーナーの心構え" title="S3オーナーになるための覚悟と備え

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ここまで、故障リスクや維持費、乗り心地の悪さなど、厳しい現実ばかりを書き連ねてきました。「こんなに欠点だらけなら、国産車の方がいいじゃないか」と思われた方もいるかもしれません。経済性や信頼性だけを天秤にかければ、その通りです。

しかし、それでも私はアウディS3という車が大好きですし、これらの欠点を知った上でも乗る価値があると断言できます。なぜなら、S3にはそれらのネガティブな要素をすべて帳消しにし、お釣りでお釣りが来るほどの「圧倒的な全能感」があるからです。

土砂降りの雨の高速道路でも、まるでレールの上を走っているかのようにビシッと安定して走るクワトロシステム。アクセルをひと踏みすれば、周囲の景色が一瞬で後方に飛び去るほどの爆発的な加速力。

それでいて、冠婚葬祭から日常の買い物までこなせる洗練されたデザインとサイズ感。これほどまでに高い次元で「速さ」と「日常」を融合させた車は、世界中を探してもそう多くはありません。

S3における「欠点」とは、究極の性能を追求した結果生じた「物理的な代償」であり、ある種の「個性」でもあります。「手のかかる子ほど可愛い」という言葉がありますが、S3はまさにオーナーの愛情と理解を試す車なのかもしれません。

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神崎悠真

神崎 悠真(1級自動車整備士)                       元大手メーカー勤務。現在は高級車を中心に扱う現役のメカニック兼、自動車検査員です。このブログでは、カタログのスペック表には載っていない**「故障リスク」や「本当の資産価値」**について、整備士の視点から忖度なしで解説します。                                  車選びで失敗したくない方は、ぜひ私の経歴をご覧ください。                                             資格一覧                                         自動車整備士一級、自動車検査員、中古自動車査定員、低圧電気取扱者、大型自動車第一種運転免許、中型自動車第一種運転免許、準中型自動車第一種運転免許、普通自動車第一種運転免許、牽引自動車第一種運転免許証、甲種危険物取扱者、ガス溶接技能講習修了証、全工協主催 基礎製図検定・機械製図検定、全工協主催 情報技術検定、フォークリフト運転技能講習修了証(最大荷重1t以上)、半自動溶接適格性証明書専門級、玉掛け技能講習修了証、床上操作式クレーン運転技能講習修了証(つり上荷重5t以上)、産業車両整備技能士特急、ジュニアマイスターゴールド認定

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