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アウディのブレーキサーボ故障は50万円?安く直す方法を整備士が解説

神崎悠真

神崎 悠真(1級自動車整備士)                       元大手メーカー勤務。現在は高級車を中心に扱う現役のメカニック兼、自動車検査員です。このブログでは、カタログのスペック表には載っていない**「故障リスク」や「本当の資産価値」**について、整備士の視点から忖度なしで解説します。                                  車選びで失敗したくない方は、ぜひ私の経歴をご覧ください。                                             資格一覧                                         自動車整備士一級、自動車検査員、中古自動車査定員、低圧電気取扱者、大型自動車第一種運転免許、中型自動車第一種運転免許、準中型自動車第一種運転免許、普通自動車第一種運転免許、牽引自動車第一種運転免許証、甲種危険物取扱者、ガス溶接技能講習修了証、全工協主催 基礎製図検定・機械製図検定、全工協主催 情報技術検定、フォークリフト運転技能講習修了証(最大荷重1t以上)、半自動溶接適格性証明書専門級、玉掛け技能講習修了証、床上操作式クレーン運転技能講習修了証(つり上荷重5t以上)、産業車両整備技能士特急、ジュニアマイスターゴールド認定

はじめまして! このブログ「プレミアムカージャーナル」の運営責任者であり、現役の整備士を務めております、神崎悠真(かんざき ゆうま)と申します。

愛車のアウディに乗っていて、ある日突然メーターパネルに「ブレーキサーボ:機能の制限」という見慣れない警告が表示されたり、今まで当たり前のように作動していたアイドリングストップが効かなくなったりして、不安な気持ちでハンドルを握っていませんか? ブレーキは命に関わる最重要部品ですから、少しでも違和感があれば「もしかしてブレーキが効かなくなるんじゃ…」と心配になるのは当然のことです。

そして、その不安を抱えてディーラーに駆け込んだオーナー様をさらに絶望させるのが、整備担当者から告げられる衝撃的な一言です。「診断の結果、ABSユニット内部の故障です。ユニットごとの交換が必要になり、お見積もりは50万円を超えます」。

まだ年式もそこまで古くない、見た目もピカピカの愛車なのに、修理代だけで中古の軽自動車が買えてしまうような金額を提示されたら、誰だって言葉を失います。「もう乗り換えるしかないのか…」「車検を通すだけで70万円コースか…」と、経済的な理由で手放すことを考え始める方も少なくありません。実際、私の元へご相談に来られるお客様の多くが、この高額修理の壁に直面し、途方に暮れている状態です。

アウディの中古車維持にはこういったリスクがつきものですが、正しい知識があれば回避できる道もあります。

アウディの中古はやばい?故障リスクと後悔しない選び方を整備士が解説

しかし、どうか諦める前にこの記事を最後まで読んでください。実はこの「ブレーキサーボ故障」に関しては、必ずしもディーラーが提案する「ユニット丸ごと交換」だけが唯一の解決策ではないのです。専門的な知識と正しいアプローチを行えば、機能を完全に回復させつつ、費用をディーラー見積もりの数分の一に抑えることが十分に可能です。

今回は、アウディオーナー様を悩ませるこの複雑な故障のメカニズムと正体、そしてプロの整備現場で密かに実践されている「安く、かつ安全に直すための現実的な選択肢」について、忖度なしの整備士視点で徹底的に解説します。

この記事でわかること

  • 警告灯の意味とブレーキシステム故障のメカニズム
  • 高額修理の原因となる「C123EF0」エラーコードの正体
  • ディーラー見積もりの1/4以下の費用で修理する具体的な方法
  • 車検通過や将来の売却を見据えた賢い対処法

アウディのブレーキサーボ故障の症状と原因

  • 警告灯と機能制限のメッセージ
  • アイドリングストップが使えない前兆
  • 診断機が示すエラーコードC123EF0
  • 故障の主な原因とプレッシャーセンサー
  • A4やQ5など発生が多いモデル

警告灯と機能制限のメッセージ

このトラブルの最大の特徴は、ドライバーに与える心理的なストレスの大きさです。エンジンを始動した直後、あるいは走行中に信号待ちで停車しようとしたその瞬間、メーターパネルの中央に不吉な「ポーン」という警告音と共に黄色いシンボルマークが点灯し、以下のようなメッセージが表示されます。

アウディのメーターパネルに表示されたブレーキサーボ機能制限の警告灯

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警告メッセージの例

「ブレーキサーボ:機能の制限(Brake servo: restricted)」

「ブレーキシステム故障:慎重に停車してください」

「機能の制限」や「慎重に停車」といった言葉を見ると、多くのオーナー様は「ブレーキが完全に壊れて、いつか止まれなくなるのではないか」という恐怖を感じるはずです。しかし、まずは冷静になってください。この警告が出たからといって、直ちにブレーキペダルが床まで抜けてスカスカになったり、ブレーキが一切効かなくなったりするわけではありません。

このメッセージが意味しているのは、ブレーキを踏む力を補助する「倍力装置(ブレーキサーボ)」内部の圧力を監視しているセンサーシステムが、「想定している数値と違う動きをしているぞ」と異常を検知した状態です。アウディの高度な安全システムは、少しでも数値に矛盾があると、誤作動による急ブレーキなどのリスクを回避するため、あえて一部のアシスト機能や、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、ESP(横滑り防止装置)の高度な制御を「制限」するフェイルセーフモードに移行します。

初期段階では、普段通りのブレーキタッチで普通に運転できることがほとんどです。しかし、これを「なんだ、誤作動か」と放置するのは非常に危険です。症状が進行したり、物理的な負圧漏れが併発したりすると、ある日突然「ハードペダル」と呼ばれる現象が発生します。これは、エンジンの負圧によるアシストが完全に失われ、ブレーキペダルがまるで木の板を踏んでいるかのように硬くなる現象です。

こうなると、車を止めるためには通常の数倍の脚力でペダルを蹴り飛ばすように踏み込む必要があり、女性や高齢の方では急停車できずに追突事故につながるリスクが跳ね上がります。警告灯は、そうなる前の「最後の猶予」を与えてくれているのです。

私が過去に担当した事例でも、最初は「たまに警告が出るだけだから」と乗り続けていたお客様が、高速道路の出口で突然ブレーキが重くなり、危うく前の車に追突しそうになったというケースがありました。警告灯は単なるランプではなく、車のコンピューターが必死に伝えている「危険信号」であることを忘れないでください。

アイドリングストップが使えない前兆

実は、先ほど紹介した派手な警告メッセージが出るよりもずっと前から、車はあなたに「SOS」を発信し続けていることが多いのです。しかし、そのサインがあまりにも地味で、ブレーキとは無関係に思える機能に現れるため、多くのオーナー様が見逃してしまいます。

そのサインとは、「アイドリングストップ(スタートストップ)システムが全く作動しなくなる」という現象です。

アウディのアイドリングストップ機能が故障により停止している状態

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「最近、信号待ちでエンジンが止まらなくなったな。バッテリーが弱ってきたのかな?」

そう感じてバッテリーを新品に交換しても、一向にアイドリングストップが復活しない。もしそんな経験があるなら、それはバッテリーではなくブレーキシステムの異常である可能性が極めて高いです。では、なぜブレーキの不調でエンジンが止まらなくなるのでしょうか?

制御の仕組み

アイドリングストップでエンジンが停止している間、負圧を作るポンプも停止します。もしこの状態でブレーキペダルを何度か踏んで負圧を使い果たしてしまうと、ブレーキのアシスト力がなくなってしまいます。通常ならエンジンが自動再始動して負圧を補充するのですが、もしセンサーが「現在の負圧値が正確に読み取れない」あるいは「負圧の保持能力が怪しい」と判断していたらどうなるでしょうか?

ECU(車両の頭脳)は、「エンジンを止めている間にブレーキが効かなくなったら危険だ」と判断し、安全マージンを最大限に確保するために、最初からアイドリングストップ機能自体を禁止(無効化)してしまうのです。

車両の設定メニューで「スタートストップシステム故障」という表示が出ることもありますが、単に「利用できません」と表示されるだけのこともあります。多くの方が「アイドリングストップなんて使わないからいいや」と放置してしまいがちですが、これは「ブレーキの負圧管理システムに異常がある」という重要な証拠なのです。

ブレーキタッチに違和感がなくても、アイドリングストップが長期にわたって作動しない場合は、バッテリーを疑う前に、プロショップでブレーキ系統のデータモニタリングを行うことを強くおすすめします。早期発見ができれば、後述する「死のコード」が入る前に対処できる可能性が残されているかもしれません。

診断機が示すエラーコードC123EF0

診断機に表示されるC123EF0エラーコードとシステムロックの解説

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整備工場に入庫し、VCDSやODISといったVW・アウディ専用の診断機(テスター)を車両のOBDポートに接続すると、このトラブルの核心部分が明らかになります。単なるセンサーの一時的な通信エラーであれば、エラーコードを消去するだけで警告灯は消えます。しかし、この故障案件で最も恐れられ、整備士たちを悩ませる「死のコード」が存在します。

通称:死のコード

DTC: C123EF0
Hydraulic Brake Booster Limit Value Reached
(日本語訳:ハイドロリックブレーキサーボ リミット値に達した)

このエラーコードが表示された瞬間、通常の整備プロセスは通用しなくなります。これは「どこかが壊れています」という現在の状態報告ではありません。もっと深刻な、「故障の履歴が積み重なりすぎて、システムが許容できる限界(リミット)を超えました。もうこの制御ユニットは信頼できないのでロックしました」という、システムからの「絶縁状」なのです。

アウディのABSコントロールユニット(ESPユニット)内部には、不揮発性メモリ(EEPROM)領域に異常検知回数を記録するカウンターが存在します。例えば、センサーからの信号異常を一回検知しただけでは、ノイズの可能性もあるためエラーを確定させません。しかし、その異常が頻発し、メーカーが設定した閾値(例えば50回など)に到達すると、システムは「これは一時的な不具合ではなく、恒久的な欠陥である」と断定します。

一度このコードが書き込まれてロック状態(ハードロック)になると、一般的な汎用診断機で「エラーコード消去」のコマンドを送っても、コードは絶対に消えません。あるいは、一瞬消えたように見えても、イグニッションをオンにした瞬間に再び「ポーン」という警告音と共に復活します。

この仕様は、安全性を最優先するドイツ車ならではの設計思想と言えますが、修理する側からすると非常に厄介です。なぜなら、「直ったかどうか」を確認する前に、まず「ロックを解除」しなければならないからです。これが、ディーラーの整備士が「ユニット交換しかありません」と断言せざるを得ない技術的な根拠となっており、50万円オーバーの見積もりが発行される原因のすべてなのです。

故障の主な原因とプレッシャーセンサー

では、そもそもなぜカウンターがリミットに達するほどのエラーが記録されてしまうのでしょうか? ABSユニット自体が壊れてしまったのでしょうか? 実は、ユニット本体(基板やポンプ)は正常であるケースが非常に多いのです。

諸悪の根源となっているのは、ユニットに情報を送り続けている「ブレーキプレッシャーセンサー(部品番号例:5Q0 906 207など)」です。この小さなパーツは、ブレーキブースター内部やバキュームライン上の圧力をリアルタイムで計測しているのですが、経年劣化により内部のピエゾ抵抗素子が狂い始めます。

故障の原因となるアウディのブレーキプレッシャーセンサーと整備士の手元

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よくある原因の詳細

  • センサーのドリフト故障:
    実際には正常な負圧が発生しているのに、センサーが「異常な数値(例えば大気圧のまま変化しない、あるいはあり得ないスパイク値)」を出力してしまう現象です。これが繰り返されることで、ABSユニット側のカウンターが回ってしまいます。
  • バキュームホースの微細な亀裂:
    エンジンの熱による樹脂パーツの劣化で、ホースのジョイント部分やチェックバルブに目に見えないクラックが入り、そこから二次空気を吸って負圧が低下しているケースです。
  • バキュームポンプの能力低下:
    走行距離が多い車両では、負圧を作り出すポンプ自体の摩耗により、必要な負圧に達するまでの時間が長くなり、タイムアウトエラーとして記録されることもあります。

私がこれまでに診断してきた車両の8割以上は、この「センサーのボケ」が原因でした。たった数千円〜数万円のセンサーが嘘の報告をし続けた結果、それを真に受けた数十万円もするABSユニットが「もう無理です、仕事できません」とサジを投げてしまう。これが、この高額修理トラブルの残酷な真実なのです。

また、センサーのカプラー内部にエンジンオイルが浸入しているケースもあります。これはバキュームポンプのシール不良により、バキュームラインを通じてオイルが逆流してくる現象です。この場合はセンサーだけでなく、ポンプやホースの交換も必要になり、修理範囲が広がるため注意が必要です。

A4やQ5など発生が多いモデル

このトラブルは、特定の1車種だけの問題ではありません。アウディおよびフォルクスワーゲングループが共有するプラットフォーム(MLB Evoなど)や、部品サプライヤー(Bosch製ESP9.0世代以降)を採用している2010年代中盤から後半のモデル広範で発生しています。

私の整備工場で特に入庫が多く、相談が絶えないのは以下のモデルたちです。

モデル名 型式(プラットフォーム) 発生傾向と特徴
Audi A4 / S4 8K (B8) / 8W (B9) 圧倒的に報告数が多いモデルです。特にB9系(2016年〜)でのC123EF0事例が急増しています。
Audi A5 / S5 8T / F5 A4と基本コンポーネントを共有しているため、クーペ・スポーツバック問わず同様に発生します。
Audi Q5 8R / FY SUVモデルも例外ではありません。特にディーゼル(TDI)モデルでのバキュームポンプ関連トラブルも併発しやすい傾向があります。
Audi A6 / A7 4G (C7) / 4K (C8) 上級セグメントでも同じセンサー部品を使用しているため、5年落ち以降でリスクが高まります。

A7などの上級モデルでも同様のトラブルが発生し、維持費に悩むオーナー様が少なくありません。

アウディA7は故障が多い?原因と維持費のリアルを整備士が解説

特に、「新車から5年目(2回目の車検)」「7年目(3回目の車検)」を迎えるタイミングでの発症例が目立ちます。ちょうどメーカー保証(Audi Warranty)や延長保証が切れた直後を狙ったかのように壊れるため、オーナー様の落胆もひとしおです。また、日本仕様の右ハンドル車の場合、ブレーキサーボやセンサーがエンジンの熱源に近い場所や、カウルトップパネルの奥まった場所に配置されていることが多く、熱害による劣化が進みやすいのではないかとも推測されています。

アウディのブレーキサーボ故障の修理費用と対策

  • ディーラーでのABSユニット交換費用
  • センサー交換とリセットで費用を抑える
  • 現品修理やオーバーホールの選択肢
  • DIYでのセンサー交換は完治しない
  • 車検やリコールに関する重要情報
  • よくある質問
  • アウディのブレーキサーボ故障への対処まとめ

ディーラーでのABSユニット交換費用

ウディの高額修理を回避するプロの解決策の提案

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さて、ここからは皆様が最も気にされている「お金」の話です。まず、正規ディーラーに修理を依頼した場合の標準的な対応と費用について詳しく見ていきましょう。

ディーラーのサービスマニュアル(整備手順書)において、エラーコード「C123EF0」が確認された場合の処置フローは極めてシンプルかつ厳格です。「ABSコントロールユニット(ハイドロリックユニット含む)のアッセンブリー交換」一択と定められています。ディーラーはメーカーの看板を背負っており、再発リスクをゼロに近づける責任があるため、リスクのある「リセット修理」や「部分修理」は原則として行いません。

その結果、提示される見積もりは以下のようになります。

アウディディーラーでのABSユニット交換修理見積書50万円〜70万円

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ディーラー修理費用の内訳目安

部品代(ABSハイドロリックユニット): 約400,000円 〜 500,000円
交換工賃(ブレーキフルード全交換含む): 約50,000円 〜 80,000円
コーディング・基本調整費用: 約20,000円 〜 30,000円
総額:約500,000円 〜 700,000円(税込)

いかがでしょうか。もしお乗りのA4(B8前期など)の中古車相場が50万円〜80万円程度だった場合、修理代が車両価値と同等、あるいは上回ってしまう「経済的全損」に近い状態になります。「車検を通すために70万円かかるなら、頭金にして新車に乗り換えた方がいいですよ」というセールストークが展開されるのも無理はありません。もちろん、新品交換には「2年間の部品保証」や「確実な安心」という対価が含まれていますが、多くのユーザーにとっては許容範囲を超えた出費と言えるでしょう。

この金額を見て「アウディはやっぱり維持費が高い」と痛感される方も多いですが、これはメーカー指定の「最も安全で高価な修理方法」を選んだ場合の価格です。世の中には、メーカーの看板がないからこそできる、柔軟でコストパフォーマンスに優れた修理方法が存在します。

センサー交換とリセットで費用を抑える

ディーラー修理70万円と専門店修理15万円の費用比較グラフ

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「そんな大金は払えないけれど、愛車にはまだ乗り続けたい」。そんなオーナー様のために、私たちのような輸入車専門の整備工場(プロショップ)が存在します。専門店では、メーカーのマニュアルに縛られない、より柔軟でコストパフォーマンスの高い修理アプローチが可能です。

具体的には、以下の2ステップで修理を行います。

専門店での修理プロセス

  1. 原因部品の特定と交換:
    まず、トラブルの引き金となった「ブレーキプレッシャーセンサー」のみを新品に交換します。センサー自体は純正品や高品質なOEM品(Bosch製など)を使っても、部品代は2万円〜3万円程度です。
  2. ABSユニットのロック解除(リセット):
    ここが最重要ポイントです。通常の診断機では消せない「C123EF0」のエラーコードを、特殊なエンジニアリングツールやソフトウェアを使用して、ABSユニット内部のEEPROMにアクセスし、カウンター情報を初期化(リセット)します。

この方法であれば、何十万円もするABSユニット本体は、お客様の車両にもともと付いていたものをそのまま再利用できます。当然、ユニットが物理的に壊れていないことが前提ですが、私の経験上、この方法で完治するケースは非常に多いです。

驚きの費用対効果

この「センサー交換 + 特殊リセット」プランであれば、ショップにもよりますが、総額10万円 〜 15万円程度で修理が可能です。ディーラー見積もりの1/4〜1/5という圧倒的な安さで、警告灯のない快適な状態を取り戻すことができます。

ただし、この修理を行うには高度な知識と専用機材が必要です。一般的な街の整備工場では対応できないことが多いため、「アウディ コーディング 故障診断」などのキーワードで検索し、実績のあるショップを探す必要があります。関東や関西には、こうした修理を得意とする有名なショップがいくつか存在します。

現品修理やオーバーホールの選択肢

「リセットだけで本当に大丈夫なの?」「万が一、ユニットの中身も壊れていたら?」という不安をお持ちの方には、もう一つの選択肢である「現品修理(オーバーホール)」をおすすめします。

これは、お客様の車両からABSユニットを取り外し、それを専門の修理業者(リビルト業者)に送付して、内部の電子基板の点検・修理、消耗部品の交換、そしてロックの解除までを一括で行ってもらう方法です。日本では「株式会社キャニオン」様や「Jスクエア」様などが有名ですし、場合によってはイギリスの「ECU Testing」などの海外業者に送ることもあります。

現品修理のメリット:

  • 新品よりも安い: 新品交換の半額以下、脱着工賃を含めても総額15万円 〜 20万円程度で収まることが多いです。
  • 対策強化: 弱点となっている回路部分を対策部品で強化してくれる場合があり、再発リスクを下げられます。
  • 長期保証: 業者によっては、修理したユニットに対して「1年保証」や、場合によっては「永久保証」を付けてくれることもあり、安心感は新品並みです。

デメリットとしては、ユニットを送って修理して戻ってくるまでの数日間〜1週間程度、車がリフトに上がったまま動かせなくなる(入院が必要になる)点です。しかし、急ぎでなければ非常にバランスの取れた賢い選択肢と言えます。

また、現品修理の場合はユニット固有のデータ(コーディング情報やイモビライザー関連データ)が保持されたまま戻ってくることが多いため、再取り付け時の設定作業がスムーズに進むというメリットもあります。ディーラー以外の工場で修理する場合、こうした「技術的な裏付け」がある修理方法を選ぶことが、後のトラブルを防ぐ鍵となります。

DIYでのセンサー交換は完治しない

自己流修理(DIY)の危険性

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最近はYouTubeなどで海外の修理事例を見て、「センサーを変えるだけなら自分でもできそう!」とDIYに挑戦されるチャレンジャーなオーナー様も増えています。部品自体はネット通販で安く手に入るため、気持ちは痛いほど分かります。しかし、このトラブルに関しては、安易なDIYは「安物買いの銭失い」になる可能性が極めて高いと警告させてください。

DIYの落とし穴

理由:エラーコードが絶対に消えない
これが最大の壁です。苦労してカウルトップを外し、狭いエンジンルームで指を怪我しながらセンサーを新品に交換したとします。しかし、イグニッションをオンにしても、あの忌々しい警告音は鳴り止みません。

先ほど解説した通り、ABSユニット内のロック(C123EF0)は、数千円のスマホ用OBD2ツールや、市販の診断機では解除できません。センサーだけ新しくなっても、ユニット側が「私はロックされています」と言い張る限り、システムは復旧しないのです。

結局、センサー交換後に警告灯が消えず、泣く泣く整備工場に持ち込むことになります。しかも、持ち込まれた工場側も「ユーザーが自分で触った車両」は責任の所在が不明確になるため、作業を断るか、工賃を割増にするケースがあります。また、右ハンドル車の場合、センサー交換の難易度が非常に高く、無理に作業をしてバキュームホースの爪を折ってしまったり、Oリングを噛み込ませて二次被害(エア噛みやフルード漏れ)を引き起こしている事例も散見されます。

ブレーキシステムは重要保安部品です。ご自身とご家族の命を守るためにも、この作業は最初から「リセット環境の整ったプロ」に任せるのが、結果的に最短で最安の道となります。

車検やリコールに関する重要情報

最後に、法的な観点とメーカーの対応について触れておきます。

まず車検についてですが、メーターパネルに「ブレーキシステム故障」「ABS警告灯」「横滑り防止装置警告灯」などが点灯または点滅している状態では、日本の車検は100%通りません。これは保安基準で明確に定められています。「ブレーキは効くから大丈夫」という言い訳は検査官には通用しませんので、車検満了日が近い方は一刻も早い対応が必要です。

また、ご自身の車両がメーカーのリコール(回収無償修理)対象になっていないかを確認することも重要です。過去には、ブレーキのバキュームラインを通じてエンジンオイルがブレーキサーボ内に浸入し、ダイヤフラムを損傷させるという不具合でリコールが出ていました。また、直近では電気自動車のe-tronなどでブレーキブースター接続部のリコールも発表されています。

もしリコール対象であれば、ブレーキサーボや関連部品をメーカー負担(無償)で新品交換してもらえる可能性があります。修理にお金を出す前に、まずは車検証を手元に用意して、以下の国土交通省の検索サイトやアウディ公式サイトでチェックすることを強く推奨します。

(出典:国土交通省『自動車のリコール・不具合情報』

よくある質問

Q:ブレーキ警告が出ても走行して大丈夫ですか?

A:初期段階では走行可能な場合が多いですが、放置するとブレーキが極端に重くなり危険です。また、警告灯点灯中は車検に通りません。

Q:ディーラーで50万円と言われました。安く直せますか?

A:専門店で「センサー交換+ロック解除」を行えば、10〜15万円程度に抑えられる可能性があります。現品修理も有効な選択肢です。

Q:自分でセンサーを交換すれば直りますか?

A:いいえ、完治しません。センサーを交換してもABSユニットのロック(エラーコードC123EF0)は専用機材でないと解除できないため、警告灯は消えません。

Q:アイドリングストップが効かないのは故障の前兆ですか?

A:はい、その可能性が高いです。ブレーキの負圧管理に異常があると、安全のためにアイドリングストップ機能が強制的に停止されます。

アウディのブレーキサーボ故障への対処まとめ

ここまで、アウディのブレーキサーボ故障の深い闇と、そこから抜け出すための光について解説してきました。50万円、70万円という高額見積もりを見て絶望していた方も、少しは希望が見えてきたのではないでしょうか。

海岸線を走るアウディの後ろ姿とカーライフ継続のメッセージ

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今回のポイントまとめ

  • 初期症状を見逃さない:
    「アイドリングストップが効かない」「たまに黄色い警告が出る」は、システムからのSOSです。完全に壊れる前に対処しましょう。
  • C123EF0はロックの証:
    このコードが出たら通常の修理では直りません。しかし、ユニットが死んだわけではありません。
  • 専門店が救世主:
    ディーラーでの新品交換にこだわらなければ、「センサー交換+ロック解除リセット」や「現品修理」で、費用を10万円〜20万円台に抑えることが可能です。
  • DIYは非推奨:
    エラーリセットのハードルが高すぎるため、時間と部品代の無駄になるリスクが高いです。

アウディは本当に素晴らしい車です。たった一つのセンサーやエラーコードのせいで、その愛車を手放してしまうのはあまりにも勿体無いことです。まずは、お近くの「輸入車修理が得意な整備工場」や「アウディのコーディングができるショップ」を探し、「C123EF0のリセット修理の実績はありますか?」と問い合わせてみてください。

的確な知識と選択肢を持つことが、あなたの愛車と資産を守る最強の武器になります。この記事が、あなたのアウディライフを救うきっかけになれば、整備士としてこれほど嬉しいことはありません。

  • この記事を書いた人

神崎悠真

神崎 悠真(1級自動車整備士)                       元大手メーカー勤務。現在は高級車を中心に扱う現役のメカニック兼、自動車検査員です。このブログでは、カタログのスペック表には載っていない**「故障リスク」や「本当の資産価値」**について、整備士の視点から忖度なしで解説します。                                  車選びで失敗したくない方は、ぜひ私の経歴をご覧ください。                                             資格一覧                                         自動車整備士一級、自動車検査員、中古自動車査定員、低圧電気取扱者、大型自動車第一種運転免許、中型自動車第一種運転免許、準中型自動車第一種運転免許、普通自動車第一種運転免許、牽引自動車第一種運転免許証、甲種危険物取扱者、ガス溶接技能講習修了証、全工協主催 基礎製図検定・機械製図検定、全工協主催 情報技術検定、フォークリフト運転技能講習修了証(最大荷重1t以上)、半自動溶接適格性証明書専門級、玉掛け技能講習修了証、床上操作式クレーン運転技能講習修了証(つり上荷重5t以上)、産業車両整備技能士特急、ジュニアマイスターゴールド認定

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