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ポルシェ・ケイマンの中古購入の注意点!後悔しない選び方と維持費を解説

神崎悠真

神崎 悠真(1級自動車整備士)                       元大手メーカー勤務。現在は高級車を中心に扱う現役のメカニック兼、自動車検査員です。このブログでは、カタログのスペック表には載っていない**「故障リスク」や「本当の資産価値」**について、整備士の視点から忖度なしで解説します。                                  車選びで失敗したくない方は、ぜひ私の経歴をご覧ください。                                             資格一覧                                         自動車整備士一級、自動車検査員、中古自動車査定員、低圧電気取扱者、大型自動車第一種運転免許、中型自動車第一種運転免許、準中型自動車第一種運転免許、普通自動車第一種運転免許、牽引自動車第一種運転免許証、甲種危険物取扱者、ガス溶接技能講習修了証、全工協主催 基礎製図検定・機械製図検定、全工協主催 情報技術検定、フォークリフト運転技能講習修了証(最大荷重1t以上)、半自動溶接適格性証明書専門級、玉掛け技能講習修了証、床上操作式クレーン運転技能講習修了証(つり上荷重5t以上)、産業車両整備技能士特急、ジュニアマイスターゴールド認定

 はじめまして!このブログ「プレミアムカージャーナル」の運営責任者であり、現役の整備士を務めております、神崎悠真(かんざき ゆうま)と申します。

現役整備士が教えるポルシェ・ケイマンの中古車選びの全技術スライド表紙

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ミッドシップの軽快なハンドリングが魅力のポルシェ・ケイマン。憧れのポルシェが中古なら手の届く価格で売られているのを見ると、つい飛びつきたくなりますよね。でも、ネットで調べてみると、ポルシェのケイマンを中古で購入する際の注意点として、エンジンの致命的なトラブルや維持費の高さについての情報が溢れていて、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

特に後悔したくないという思いや、故障が多いのではないかという懸念、さらには安っぽいと感じる内装の劣化など、気になるポイントは尽きないはずです。この記事では、私が日々現場で目にするリアルな情報をもとに、後悔しないための選び方を分かりやすくお伝えします。

記事のポイント

  • 世代ごとに異なるメカニカルトラブルの具体的なリスクと回避策
  • 購入時に必ずチェックすべき内装や外装の劣化ポイント
  • 維持費の目安と突発的な高額修理費用を抑えるための知恵
  • 資産価値を維持しながら楽しむための中古車選定基準

ポルシェのケイマンを中古で選ぶ際の注意点と基本

  • 987前期のIMS故障リスクと対策
  • 987後期から廃止されたエンジンの変更点
  • 981型の内装劣化や天井の垂れ
  • PDK故障時の修理費用と高額なアッセンブリー交換
  • ウォーターポンプや冷却系の定期メンテナンス
  • フロントバンパーに溜まる落ち葉の清掃

987前期のIMS故障リスクと対策

ポルシェ・ケイマン987型の前期(2005-2008)と後期(2009-)でエンジンの設計が根本的に違うことを示すイラスト

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ポルシェ・ケイマンの初代モデルである987型の前期モデル(2005年から2008年頃)を検討するなら、避けて通れないのがインターミディエイトシャフト(IMS)ベアリングの破損リスクです。これ、もし発生してしまうとエンジンが全損する可能性があって、修理代が200万円を超えることもある恐ろしいトラブルなんですね。

IMSとは、クランクシャフトからカムシャフトへ駆動を伝えるための中間シャフトのことです。このシャフトを支える「ベアリング」が破損し、内部に金属片が飛び散ることでエンジンが再起不能になります。ポルシェ社もこの問題を認識しており、年式によってベアリングのサイズを変更するなどの対策を講じてきました。

実際、2006年モデルの途中からはベアリングが大型化され、故障率は劇的に低下したと言われています。しかし、初期の「シングルロー」と呼ばれるベアリングを採用している個体については、統計的に一定の故障リスクが指摘され続けています。

ポルシェ・ケイマン987前期のIMSベアリング破損とシリンダーかじりによるエンジン全損リスクの解説図

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IMS問題は全ての個体に発生するわけではありませんが、特に2005年以前に製造されたエンジンを積んだ初期モデルは注意が必要です。具体的には、エンジン番号が「M96/05 69507476」以降であれば、より強固な対策済みベアリングが装着されている可能性が高いとされています。
購入前にこの番号を確認したり、ショップですでに対策品(社外品のセラミックベアリングなど)に交換されているかを確認するのが鉄則ですよ。

また、もう一つ忘れてはならないのがシリンダーの壁面に傷が入る「ボアスコアリング(シリンダーかじり)」です。これは特に排気量の大きい3.4Lの「S」モデルにおいてリスクが高いとされています。ピストンとシリンダーが異常摩耗を起こし、アイドリング時に「カタカタ」という独特の打音が発生したり、マフラーから異常な白煙が出たりするのが予兆です。

これを防ぐには、暖機運転を丁寧に行い、冷間時の急加速を避けること、そして何よりメーカー指定よりも早めのサイクルでオイル交換を徹底することが重要です。中古車選びの際は、冷間始動時の音を自分の耳で確かめることを強くおすすめします。

こうしたエンジン内部の深刻なトラブルについては、ポルシェのカイエンの中古が安い理由や故障の事例と比較しても、ケイマン特有の構造的な注意点と言えるでしょう。

987後期から廃止されたエンジンの変更点

987後期からIMSが廃止されPDKが登場したことによる故障リスク低減と走行性能向上のタイムライン

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「故障が怖いけれど987のデザインが好き」という方には、2009年以降の後期モデル(987.2)が断然おすすめです。この世代からエンジン設計が根本から刷新され、最大の特徴としてIMS(インターミディエイトシャフト)そのものが存在しない設計になりました。

物理的にシャフトがないので、IMS故障という爆弾を抱えずに済むのは、中古車選びにおいてめちゃくちゃ大きな安心材料ですよね。

この後期型エンジンは「MA1」型と呼ばれ、クランクシャフトから直接カムシャフトを駆動する方式に変更されました。また、多くのモデルで燃料をシリンダー内に直接噴射する「DFI(直噴)」が採用され、パワーと燃費の両立が図られています。

ただし、直噴エンジン特有の悩みとして、インテークバルブ付近へのカーボン堆積や、高圧燃料ポンプの不具合といった現代的な課題はゼロではありません。それでも、エンジン全損に繋がるIMSリスクに比べれば、メンテナンスで対応可能な範囲と言えるでしょう。

トランスミッションの進化も見逃せない

エンジンだけでなく、トランスミッションが従来のティプトロニックS(トルコンAT)から、最新の「PDK(7速デュアルクラッチ)」に変更されたのも後期型からです。変速スピードが飛躍的に向上し、より「ポルシェらしい」ダイレクトな走りが楽しめるようになりました。

987後期は、クラシックな外観と現代的な信頼性を兼ね備えた、まさに「狙い目」の世代と言えます。少し予算を上げてでも後期モデルを狙うのは、長期的な維持費やリセールバリューを考えれば非常に賢い選択になるはずです。

ちなみに、流麗なスポーツカーのデザインについては、プレリュードがポルシェのパクリと言われるデザインの真相という面白いトピックもありますが、本物のポルシェが持つメカニズムの深さは、やはり唯一無二のものです。

981型の内装劣化や天井の垂れ

2012年に登場した981型は、シャシーが大幅に進化し、エンジンの信頼性も熟成の域に達した「自然吸気エンジンの完成形」として非常に人気があります。しかし、メカニカルな心配が減った一方で、この世代特有の悩みとして浮上してきたのが、ポルシェらしからぬ内装の経年劣化です。

特に日本の高温多湿な環境下では、「天井の垂れ(ルーフライニングの剥がれ)」「ドアトリム上部の浮き」が頻発しています。

天井の垂れは、生地の裏側にあるウレタンが加水分解を起こしてボロボロになり、自重で剥がれ落ちてくる現象です。最初は後部の方から少し浮いてくる程度ですが、放っておくと頭に生地が触れるほどダラリと垂れ下がってしまいます。これは走行性能には関係ありませんが、運転中のストレスは相当なものです。

ポルシェ・ケイマン981型で頻発する天井の垂れとドアトリムの浮きの実際のイメージと修理費用

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天井の張り替え修理には、専門業者に依頼して8万〜15万円ほどかかります。また、981型で特に厄介なのがドアトリム(内張り)の上部が窓枠に沿って浮いてきたり、変形したりするトラブルです。
ここはサイドエアバッグの作動にも関わる部位であるため、メーカーの正規修理では「ドア内張り丸ごと交換」となり、片側だけで20万円以上の見積もりが出ることもあります。
最近では接着修理を行うショップも増えていますが、購入時のチェック項目として最優先すべきポイントですね。

中古車を見に行く際は、ぜひ後部座席付近からルーフ全体を見渡して、生地が浮いていないか、接着剤が剥がれたような異臭がしないかを確認してください。また、ドアの内張りが波打っている個体は、過去に熱のこもる環境で保管されていた可能性が高いため、他のゴムパーツなどの劣化も疑ってみるべきかもしれません。

こうした維持管理の苦労については、ポルシェのケイマンに乗る人の年収や維持費の実態でも詳しく触れていますが、内装の美しさを保つこともオーナーの大切な仕事の一つです。

PDK故障時の修理費用と高額なアッセンブリー交換

ポルシェPDK故障時のアッセンブリー交換費用100万〜150万円とフルード交換による防御策の解説

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ポルシェの走りを劇的に変えた「PDK」ですが、中古で購入する際にはその「修理の仕組み」を理解しておく必要があります。PDKは非常に精密なロボットのようなトランスミッションで、内部には複雑なセンサーや油圧バルブが組み込まれています。

もし走行中に警告灯が点灯したり、特定のギアに入らなくなったりした場合、正規ディーラーでは基本的に「分解修理」を行わず、100万〜150万円もするトランスミッション全体のアッセンブリー交換を提案されるのが一般的です。

この金額は、中古車の車両価格に対してあまりに高額ですよね。もちろん、PDK自体の耐久性は高く、10万キロを超えても元気に走っている個体はたくさんあります。しかし、機械である以上、電子制御系のトラブルは突然やってきます。リスクを最小限に抑えるには、これまでの「PDKフルード(オイル)の交換履歴」を精査することが重要です。

ココがポイント

試乗ができるのであれば、以下のポイントを確認してください。
・発進時にギクシャクした異常なショックがないか
・低速域での変速がスムーズか
・バックギアへの入りに時間がかかりすぎないか
これらに違和感がある場合は、制御ユニットやセンサーに不具合を抱えている可能性があります。

専門的な視点からの詳細は、こちらのポルシェのPDKの耐久性の真実を整備士が解説した記事を併せて読んでみてください。最近では内部のセンサーだけを安価に交換してくれる独立系の専門店も出てきていますが、基本的には高額修理のリスクを理解した上で選ぶべきパーツと言えます。

ウォーターポンプや冷却系の定期メンテナンス

ポルシェ・ケイマンは、エンジンを運転席のすぐ後ろに配置する「ミッドシップレイアウト」を採用しています。理想的な重量バランスを生むこの構造ですが、整備士の目から見ると「熱管理」が非常にシビアな車でもあります。エンジンの熱を逃がすための冷却水(クーラント)は、車体後方のエンジンから車体前方のラジエーターまで、長い配管を通って循環しています。

そのため、冷却システム全体にかかる負荷が非常に大きいんです。

特に注意すべきはウォーターポンプです。これは走行5万キロから7万キロ前後で寿命を迎えることが多く、ポルシェ乗りにとっては「壊れてから直す」のではなく「壊れる前に換える」べき定番の消耗品です。ポンプの軸から冷却水が漏れ始めると、エンジンルーム内に甘い匂いが漂ったり、地面にピンク色や緑色の液体の跡がついたりします。

放置するとオーバーヒートを引き起こし、エンジン本体を歪ませてしまう最悪の事態になりかねません。

部品名 交換目安(距離) 重要度 放置した場合のリスク
ウォーターポンプ 50,000〜70,000km 最高 オーバーヒート、エンジン焼き付き
サーモスタット ウォーターポンプと同時 水温異常、燃費悪化
エキスパンションタンク 10年または10万km タンクのひび割れによる冷却水漏れ

購入時には、整備記録簿を見て「過去にウォーターポンプやサーモスタットが交換されているか」を確認してください。もし一度も交換されていない高走行車であれば、納車整備のタイミングで交換してしまうことを強くおすすめします。水回りをリフレッシュするだけで、安心感は桁違いに変わりますよ。

極限の熱管理が求められるポルシェの設計思想は、ポルシェのカレラGTの運転が難しい理由にも通ずる、非常にストイックなものです。

フロントバンパーに溜まる落ち葉の清掃

ウォーターポンプの寿命とフロントバンパーに溜まる落ち葉がラジエーター腐食の原因になることの解説図

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これはポルシェ特有の「あるある」なのですが、フロントバンパーの大きな左右の空気取り入れ口は、構造上どうしても路面の落ち葉やゴミを吸い込みやすいんです。吸い込まれたゴミは、その奥にあるラジエーターやエアコンコンデンサーの前面に溜まっていきます。

これがただのゴミだと思って侮ってはいけません。湿った落ち葉が長時間アルミ製のラジエーターに密着することで、腐食を引き起こし、最終的には穴が開いて冷却水漏れを誘発する原因になるんです。

特に秋から冬にかけて走った個体や、屋外駐車されていた車両は要注意です。ライトでバンパーの奥を照らしてみれば、素人目にもゴミが溜まっているのがわかるはずです。これを放置しておくと、将来的に数十万円単位のラジエーター交換費用がかかる可能性があります。

「たかが掃除」と思わず、定期的にバンパーを脱着して清掃している個体は、オーナーの愛着が細部にまで行き届いている証拠でもあります。逆にここがゴミだらけのまま放置されている車は、見えない部分のメンテナンスも疎かになっているサインかもしれません。

中古車選びの際は、あえてバンパーの隙間を覗き込んで、その車の「育ち」を確認してみてくださいね。こうした細かな配慮が、ポルシェGT3を買える人の維持費や条件といった、さらに上位のモデルを目指す際にも役立つ「ポルシェオーナーとしての基本」になります。

ポルシェのケイマンを中古で買う際に注意すべき維持費

ポルシェ・ケイマンの車検代30-50万円、N指定タイヤ代25-40万円、ハイオク燃料代の目安一覧

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  • 車検費用とポルシェセンターの点検相場
  • 燃費やハイオクガソリンの年間コスト
  • N指定タイヤの価格と消耗品の交換頻度
  • 整備記録簿で判断する認定中古車の価値
  • よくある質問
  • ケイマンを中古で買う際の注意点を踏まえた個体選び

車検費用とポルシェセンターの点検相場

ポルシェ・ケイマンを所有する上で、多くのユーザーが最も身構えるのが「車検」ではないでしょうか。正規ディーラーであるポルシェセンター(PC)で車検を通す場合、基本料金や諸費用だけで20万円程度はかかり、ここに油脂類や消耗品の交換が加わると、1回あたりの車検費用は30万〜50万円に達することも珍しくありません。

なぜこれほど高額になるのかというと、ディーラーでは「予防整備」を重視し、少しでも劣化の兆候が見られるパーツはアッセンブリー(丸ごと)交換を推奨するからです。また、ポルシェ専用の診断機(テスター)を用いた電装系のチェックや、専門メカニックによる精密な調整など、国産車にはない高度な作業が含まれるためです。

しかし、この高い費用は「単なる安心料」ではなく、ポルシェという超高性能な機械を本来のコンディションに保ち、将来的な大故障を防ぐための投資でもあります。

ココがおすすめ

一方で、最近ではポルシェの扱いに長けた独立系の専門店(プロショップ)を活用するオーナーも増えています。専門店であれば、純正部品と同等の品質を持つ「OEMパーツ」を使用して費用を抑えたり、まだ使える部品を見極めて交換を先送りにしたりと、柔軟な対応が可能です。
PC車検にこだわらない場合でも、少なくともポルシェ専用診断機を保有し、ケイマンの持病を熟知している工場に預けることが、長期的な維持費をコントロールする最大のコツです。

車検や12ヶ月点検を怠り、小さな不具合を放置した結果、エンジンやミッションといった基幹部品がダメージを受けてしまうのが一番の不幸です。中古で購入する際は、前のオーナーが「正規ディーラーで継続的に点検を受けていたか」を確認することで、その車両がどれだけ健康に保たれてきたかを推測することができます。

燃費やハイオクガソリンの年間コスト

スポーツカーを楽しむ上で、燃料代のシミュレーションは欠かせません。ケイマンは高性能な水平対向エンジンを搭載しているため、指定燃料は当然ながら無鉛プレミアム(ハイオク)です。燃費性能については、世代によって多少の差はありますが、街乗り中心であればリッター6〜8km、高速道路を巡航したとしても10〜12km程度が現実的な数字です。

例えば、年間で1万キロメートルを走行すると仮定してみましょう。平均燃費をリッター8km、ハイオク価格を185円とした場合、年間のガソリン代は約23万円にのぼります。これにオイル交換代(ケイマンは1回で約8〜9リットルもの高級オイルを消費します)を考慮すると、走行に関するコストだけで年間30万円近くを見込んでおく必要があります。

走行条件 想定燃費 年間ガソリン代(1万km)
都内・市街地中心 約6.5km/L 約284,600円
郊外・幹線道路 約9.0km/L 約205,500円
高速道路巡航 約12.0km/L 約154,100円

もちろん、スポーツ走行を楽しめば燃費はさらに悪化しますが、ポルシェの官能的なエンジンサウンドを味わえる代償と考えれば納得できるかもしれません。ただ、維持費をギリギリでやりくりしようとすると、ガソリン代が負担になって「せっかく買ったのに怖くて走れない」という本末転倒な状況になりかねません。お財布に余裕を持ってポルシェのある生活を楽しみたいですね。

N指定タイヤの価格と消耗品の交換頻度

ポルシェの優れたハンドリングを支えているのは、メーカーが公式に承認した「N指定タイヤ(Nマーク付きタイヤ)」の存在です。これは、ポルシェのエンジニアとタイヤメーカー(ミシュランやピレリなど)が共同開発したもので、サイドウォールの剛性やコンパウンドの配合がケイマンの特性に合わせて最適化されています。

ポルシェをポルシェらしく走らせるためには、このNマーク付きタイヤを装着することが強く推奨されます。

しかし、このタイヤは一般的な市販モデルよりも高価です。ケイマンに適合するサイズを4本揃えようとすると、銘柄にもよりますが工賃込みで25万〜40万円程度の出費が必要になります。さらに、ミッドシップレイアウトの特性上、リアタイヤの摩耗が早く、1.5万〜2万キロ程度で寿命を迎えることも珍しくありません。

ブレーキ周りの消耗もチェック

また、ブレーキパッドやディスクローターも「走る・止まる」の性能を重視しているため、国産セダンなどと比較すると減りが早いです。特にディスクローターはパッドと一緒に摩耗するように設計されているため、交換時にはセットでの作業となることが多く、費用がかさみます。

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中古車選びの際は、タイヤの溝がどれだけ残っているかだけでなく、「製造年週」を確認してください。溝があっても5年以上経過して硬化したタイヤは、ポルシェのグリップ性能を十分に発揮できません。もし購入時にタイヤが古い場合は、その交換費用(約30万円)も予算に組み込んでおくべきです。

こうした足回りの消耗品を惜しまず交換し続けることが、結果として車両の安全性を守り、将来的なリセールバリュー(資産価値)の維持にも繋がります。

整備記録簿で判断する認定中古車の価値

中古車選びにおいて、最も安心感が高いのは「ポルシェ認定中古車(CPO)」です。これは正規ディーラーが111項目に及ぶ厳しい点検を実施し、クリアした個体だけを販売するもので、最長2年の保証やロードサイドアシスタンスが付帯します。しかし、安心と引き換えに、価格は市場平均よりも50万〜100万円ほど高く設定されることが一般的です。

「認定中古車は高すぎるけれど、リスクも避けたい」という方がチェックすべきは、何よりも「整備記録簿(サービスブック)」の内容です。記録簿は、その個体が過去にどのように扱われてきたかを雄弁に物語る「健康診断書」です。以下のポイントを重点的にチェックしてみましょう。

  • ポルシェセンターでの12ヶ月点検、24ヶ月点検が途切れずに実施されているか
  • メーカーが推奨するタイミングでオイル交換やフルード交換が行われているか
  • リコール情報に基づいた対策作業が完了しているか(出典:国土交通省『自動車のリコール・不具合情報』
  • 過去に高額な部品(ウォーターポンプやPDKセンサーなど)の交換履歴があるか
ポルシェの整備記録簿で定期点検や水回り・PDKフルードの交換歴をチェックするための確認リスト

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特に「ポルシェセンターで定期的に点検を受けてきた個体」は、適切なアップデートが施されている可能性が高く、認定中古車でなくても非常に信頼性が高いと言えます。逆に、記録簿が紛失していたり、格安車検で最低限の整備しかされていない個体は、後に高額な修理が控えている「隠れた地雷」である可能性を疑うべきです。

よくある質問

Q:987型ケイマンの前期と後期で最も大きな違いは何ですか?

A:最大の違いはエンジン設計です。前期モデルにはエンジン全損のリスクがあるIMS(インターミディエイトシャフト)がありますが、2009年以降の後期モデルはIMSがない新設計エンジンに変更されており、致命的な故障リスクが物理的に排除されています。

Q:981型ケイマンでよく指摘される「内装の悩み」とは具体的にどのようなものですか?

A:日本の高温多湿な環境下では「天井の垂れ(剥がれ)」や「ドアトリム上部の浮き」が頻発します。天井の張り替えには約8〜15万円、ドアトリムの交換には片側20万円以上の費用がかかる場合があるため、購入前のチェックが必須です。

Q:PDK(トランスミッション)が故障した場合の修理費用はどのくらいですか?

A:正規ディーラーではアッセンブリー(丸ごと)交換となるのが一般的で、費用は約100万〜150万円と非常に高額です。リスクを避けるため、過去のPDKフルード交換履歴の確認や、試乗時のショックの有無の確認が重要になります。

Q:維持費の中で、特に意識しておくべき消耗品は何ですか?

A:まずは「N指定タイヤ」です。4本交換で25〜40万円かかります。また、5〜7万キロで寿命を迎える「ウォーターポンプ」も予防整備として交換が推奨される定番パーツです。これらの費用を予算に含めて検討しましょう。

ケイマンを中古で買う際の注意点を踏まえた個体選び

最後に、この記事のまとめとして、ポルシェのケイマンを中古で選ぶ際の注意点を総括します。ケイマンは純粋なスポーツカーとしての魅力に溢れていますが、その維持には国産車とは異なる知識と覚悟が必要です。失敗しない個体選びのポイントを今一度おさらいしておきましょう。

チェックリスト

  • 987型なら後期モデルを選び、IMSやボアスコアリングのリスクを物理的に回避する
  • 981型は内装の劣化(天井・ドア)を重点的にチェックし、修理費用を織り込んで交渉する
  • 整備記録簿を精査し、冷却系やPDKのオイル交換が適切に行われてきた個体を探す
  • 車両価格の安さだけで飛びつかない。安さの裏には必ず理由があり、後から修理代で高くつく「安物買いの銭失い」を避ける
987後期推奨、981内装確認、水回り・PDK履歴精査など後悔しないための最終チェックリスト

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私が日々多くのポルシェと向き合っていて感じるのは、大切に維持されてきたケイマンは、10年以上経っても新車時に近い輝きと走りを見せてくれるということです。ポルシェのケイマンを中古で購入する際の注意点をしっかりと理解し、リスクを管理することができれば、これほど人生を豊かにしてくれるパートナーはいません。

憧れのポルシェライフを最高の形でスタートさせるために、焦らず、信頼できるショップやメカニックの意見も取り入れながら、あなたにとっての「運命の一台」を見つけてください。なお、車体のコンディションや税制などは時期によって変動しますので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。

最終的な購入の判断は専門家にご相談の上、ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。素敵なカーライフが送れるよう、心から応援しています!

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神崎 悠真(1級自動車整備士)                       元大手メーカー勤務。現在は高級車を中心に扱う現役のメカニック兼、自動車検査員です。このブログでは、カタログのスペック表には載っていない**「故障リスク」や「本当の資産価値」**について、整備士の視点から忖度なしで解説します。                                  車選びで失敗したくない方は、ぜひ私の経歴をご覧ください。                                             資格一覧                                         自動車整備士一級、自動車検査員、中古自動車査定員、低圧電気取扱者、大型自動車第一種運転免許、中型自動車第一種運転免許、準中型自動車第一種運転免許、普通自動車第一種運転免許、牽引自動車第一種運転免許証、甲種危険物取扱者、ガス溶接技能講習修了証、全工協主催 基礎製図検定・機械製図検定、全工協主催 情報技術検定、フォークリフト運転技能講習修了証(最大荷重1t以上)、半自動溶接適格性証明書専門級、玉掛け技能講習修了証、床上操作式クレーン運転技能講習修了証(つり上荷重5t以上)、産業車両整備技能士特急、ジュニアマイスターゴールド認定

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